ぱたり、ぱたり、と。 地面に落ちた雫は鉄の臭い。「何てこと、を、」 呻き膝をつく男に、覚束ぬ足取りで近づき。 俯いた顔を覗き込めば、笑うような吐息。「何てこと、だって?」「そうだ、藤堂殿、今、目を、」「俺には、もう一つある、」 軽く握っていた拳を開けば。 紅に塗れた白の球一つ。「そんな、見えない目なんざァ捨てて、」 差し出された手中、小さく球は揺れ。 次に収まる場所を待つかのように。「俺のこと、見てくれねェかな──?」