時刻は、日を跨いだ頃。
 男二人、二十四時間営業のファミレスのドアを潜る。


「二名様でよろしいでしょうか?」


 ああ、と短く返す狐色の髪の男と。
 喫煙席で、と付け足す栗色の髪の男と。

 端から見れば、仕事の同僚か何か。
 だがその実、同棲もしている恋人同士。

 注文はドリンクバーのみ。
 完全に持久戦の構え。

 一人はアイスティーを。
 一人はホットのブラックコーヒーを。


「いいのか? 明日……というか今日は締切だろう?」
「構わん」


 冷ましもせずにコーヒーに口をつけ。
 味わったかと思うと高く足を組む。


「私は仕事がはかどらず、お前は眠れない。そういう夜は、こういう場で語り明かすのも一興だろう?」


 カラリとアイスティーの氷の音を立てて。
 味わったかと思うと顎の下で手を組んだ。


「まぁ、悪くはない……な」
「……だろう?」


 二人、目線を合わせ、笑う。
 夜は、まだ始まったばかり。


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