「――要は、黙っていればいいのだろう?」
「い、いや、そういうことじゃ、」


 押さえ込まれる壁の方角は南南東。


「恵方巻きを買い忘れたお前が悪い。仕置きだと思って、黙っておけ」
「り、理不尽だぞ曹丕、っ、」


 文句を吐き出そうとした唇は、塞がれて完全に沈黙。


「――……っ、この、鬼……っ」
「……ふ、ならば豆でもまいて追い出すか?」


 この、目の前で不敵に笑む鬼を追い払えば、それこそ。

 三成は、福も彼の男も逃がさぬよう、自ら思い切り唇を押しつけた。


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