そんな顔もするのか、と。
何故かひどく冷静に見ていた。
紅に塗れた己の体を抱えた男。
深く切り裂かれた箇所だけが熱く。
後は寒いのか暑いのかよく分からない。
「…三、成」
「どうした曹丕、みっともない顔だぞ」
「そんなことどうでもいい、手当てを」
「手当て? ……いらん」
「三成!」
さしもの男も、顔を赤に染めて怒鳴り。
それが少し愉快で。
致命傷に手をやれば、止まらない紅。
もう時間が、
「なあ、そんなことより、」
「…何だ」
「一つ、我侭を言っていいか?」
「……ああ」
「…ありがと、う、そうひ」
鉛のように重い腕を伸ばし。
触れた頬に、よく知った体温。
(どうあがいても、俺たちは、)
(だから、せめて、
最期の口付けだけは 赦して