「息が、切れているぞ、三成」
「ふん、お前もだろう、曹丕」
そう、軽口を叩き合い。
互いに預けている背。
粘り気のある紅。
凄惨なまでにまとった双剣と鉄扇と。
人にあらざる魔王の手下。
幾重にも重なって取り囲んでいる。
「全く、数だけは多いな」
「もう降参か?」
「誰が。貴様こそもう限界ではないのか?」
「誰がだ」
ほぼ吐息と化した言葉。
額の汗と紅を拭う。
じりじりと距離を詰める集団。
退路などない。
「曹丕、」
「何だ」
「俺は、平気だ」
「奇遇だな。……私もだ」
双剣を、扇を一振りし。
紅を払う。
地を蹴り。
喉が裂けんばかりの雄叫びと共に。
俺は お前と共になら世界と離別する覚悟が出来ている