「遅いではないか、曹丕?」


 膨大な書簡を片づけた、夜も深い刻。
 自ら寝台に横たわっている人の姿。


「…頭でも打ったか、三成」
「いや、至って正気だ、曹丕」


 僅か、足を動かせば。
 夜着から露わになる白い脹脛。

 狐色の髪を闇に艶めかせ。
 誘う手つきは妖。


「さあ来い、曹丕」
「……まあ、お前を誘う手間は省けたが…」


 寝台を鳴らして覆い被さり。
 脹脛に、長い指を這わす。


「正気なら正気で、理由は?」
「簡単なことだ」


 足を這い上る動きに合わせて膝を立て。
 腿の付け根まで曝け出す。


「お前は仕事で疲れている。……ならばその疲れを癒すのが、愛する者の務めであろう?」
「……ク、」


 長い髪を掻き上げ。
 刃の瞳が夜の色を帯びる。


「ならばその務め、存分に果たしてもらおうではないか?」
「勿論だ」


 帯を緩めて、体から力を抜き。
 敷布へ、両腕を投げ出す。


「さあ、好きなだけ………曹丕?」





 甘く魅惑的な欲望


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