刺し違えた勝利。
 そこに歓喜の声は一つもなく。

 全ての元凶が音もなく消え去り。
 天から光の梯子が降り始める中。

 紅の入り混じった蒼が、微動だにせず立っている。
 刃の真ん中から二つに折れた双剣を握り締め。


「………曹丕、」
「……案ずるな、三成」


 振り返った刃の瞳は虚ろ。
 精も根も尽き果て。


「すぐに、この世界は元に戻る」
「そうではない、その、傷、」
「………ふ、石田三成とあろう者が、他人の心配か」


 嘲笑し、手のひらを当てた胸元。
 温かく流れるものが、止まりそうにない。


「だが、そんなもの、不要だ」
「曹丕、死ぬ、な、」
「今、ここで死のうと、構わぬ、」


 足に力が入らずに。
 ぐらりと揺れ、霞む視界。


「世界が元に戻ったとしても、私が今、死んだとしても、





 いつか叶う日の為の 遺言

(永久に、共に。)


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