魔王を倒すという目標を掲げ。
気づかないふりを、してきた。
平穏訪れた夜。
青白く光る満月。
身の周りも殆ど落ち着きを取り戻した頃。
抑え込む栓をなくして、溢れ出した劣情。
月光を頼りに向かう部屋。
蒼の軍の中では目立つ紅の居場所。
音を立てずに戸を開ける。
明かりは消え、机に姿はない。
気配がしたのは、寝台の方。
夜着一枚で横たわり、静かに呼吸を繰り返す。
常の険が消え失せた、穏やかな寝顔。
青い光が照らす、襟元から覗く肌。
「……三成……」
体の重さに、軋む寝台。
馬乗りになり、指先で撫でた頬。
僅かな刺激に、ん、と漏れた声。
手のひらを潜らせた夜着の中。
指の腹で、つ、となぞった唇。
劣情が、吐き出される。
「お前が、……欲しい……」
月が囁く(お飾りな理性など捨ててしまえと 云っている)