「……」
「……」
「……ん……」
「………」
「…ん、んっ………」
「…………」
深いため息。
今夜何度目とも知れず。
二人、共にする寝床。
互いに互いを抱き締めて、足を絡め合い。
体温を感じながら眠りに就く。
はずだった。
吐息が分かる距離で。
時折、僅かに身じろぎ。
漏れる妙に甘い声。
長く、ふさりとした睫毛。
薄く開いた唇。
塞いでしまうのは容易い。
だがこの状況、それで終われるはずもなく。
その上日が昇れば、魔王との決戦。
(自重しろ、曹子桓、)
(今夜だけは、ならぬ)
己に言い聞かせ。
目を閉じようとした刹那。
「……そぉ、ひ……」
とろけそうな微笑みと共に。
もごもごと形づくられた、名前。
「………っ、」
無理矢理、闇に追いやった視界。
(覚えていろ、三成)
(戦が終わった後、…死ぬほど愛してやるからな?)
それって一種の拷問だよ