空にぽっかり浮かんだ白い雲。
緩やかな流れ。
風もなく、午後の光が集う濡れ縁。
転寝しそうなあたたかさ。
決して柔らかいとは言えない膝の上。
「三成」
「何だ」
空を見上げていた瞳。
膝元に下りてきて己を一杯に映し出す。
「ただ、名を呼びたかっただけだ」
「そうか」
ふいとまた青に戻る視線。
細く、白い首筋。
「三成」
「…何だ」
「何でもない」
「なら呼ぶな」
膝の貸し主は青を。
膝の借り主は首筋を。
じっと見ている。
「三成」
「………」
「…みつなり、」
「…なんだ、そうひ」
呆れたような視線が降ってきて。
その頬を両手で捕まえる。
「好きだ」
「な、」
「愛している」
「あ、阿呆、いきなり何をっ、」
「ふ、一々、可愛らしい奴だ」
そのまま体を起こし。
暴言を吐き出す唇を、塞ぐ。
何度だって云うさ聞き飽きるくらい伝えるさ いいかい?