「何故、だ」


 やっとのことで口にした疑問。
 乱れに乱れた吐息に乗せて。

 大の男が二人横になるには、狭い寝台。
 動く度、今にも壊れてしまいそうな軋んだ音を上げる。


「何が」


 一つの蒼も纏っていない男。
 息も殆ど乱さずに。

 言葉を紡げば、唇が触れそうな距離。
 互いの顔しか、見えない。


「何故、俺、を」
「ああ、」


 くく、と低く、喉の奥で笑う。
 耳元へと、声を寄せる。


「そんなこと、決まっている」


 至極、単純で明快。


「お前が、嫌いだからだ」


 繋がり、離れるどころか。
 ますます、溶けていこうするその箇所。

 内側から、刻み込むように。
 最奥へ。


「嫌いな者は、傍において、監視せねばな」
「そうだ、な」


 その華奢な体で、余すところなく。
 熱い衝動の全てを受け止め。


「俺も、貴様が大嫌い、だ」





 この短き生涯最初で最後 最大の嘘をあなたに捧げます


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