驚いた。
心底。
凄まじく速い鼓動を静めるように。
左胸を押さえつける。
(いきなり何を言い出すんだ、あいつは、)
やることがあるからと去っていく男。
翻る蒼。
何の前触れもなく。
低く涼しい声が成した三文字。
(ああ、馬鹿らしい)
一瞬、都合のいいように捉えた自分が。
桜の花が、ということだ。
あんな小難しい男が、男色などと。
世界の摂理が歪んだとしても。
いや。
もしかしたら。
三国時代と戦国時代の融合。
今、世界の摂理は、
(貴様のせいだ、)
思考回路がおかしい。
愛する女が、いるのだ。
その上、全ての原因を滅すれば。
もう、
(だから、
こんなものは間違っていなくてはならないと思うのに