「あぁ」


 悟った。
 ここで、終わりだ、

 紅の噴水。
 この痛みと引き換えなら、安い買い物。

 頭の芯はひどく冷静だった。
 水を浴びせかけられたように、それこそ。

 実際、浴びているものはあるのだが。

 怯えたその男の顔。
 紅を纏った剣。
 よく訓練された兵たちの、混沌とした喊声。
 近づいてくる足音。


「   」


 名前を呼ばれた。
 手を伸ばした。
 膝を地につきながら。
 
 確かに見えた背。


 大  万 吉


「み、   」


 悟った。
 ここで、終わりだ、けれど、同時に。

 頬に硬い感触。
 土の匂い。





 お前の姿だけは今も瞼の裏鮮やかに


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