興味本位で、後をつけていったのだ。
先の戦、敵の宝物庫から得た銭や貴金属。
取り分だと渡されたその全てを。
近隣の小さな村。
その中央にできた人だかり。
家の陰からそっと様子を窺う。
人だかりの中、揺れる二つの角のようなもの。
村人たちは皆、各々何かを手に。
笑顔で家へと戻っていく。
大分人が疎らになったところで。
「曹丕、何をしている。早く出てこい」
大方、最初から気づいていたくせに。
あれほど銭や貴金属を積んでいた荷台。
今は銭が少し残っているだけで。
「全部、与えてしまったのか」
「使い道がないからな」
元の世界では一つ城を、持っていたのだが。
その城といい、己の周りを飾ったところで。
「根本的な解決にはならんが、まだ」
家々から聞こえる賑わいを、目を細めながら。
ふと、服が引かれ。
幼女が一人、手に花を。
「どうも、ありがとう」
無垢な微笑と共に。
柔らかな手。
(ああ、どうか、
願わくは、お前の理想が常しえでありますように