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「#年下攻め」のBL小説を読む
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#14

ハラダ様の胸は大きさと固さこそ違えど、リヴァイとそう変わらないものでした。
私を泣き虫にするのに十分事足りる、逞しいものでした。

何から話せばいいのやら分からなくて、でも涙だけは止めどなく溢れて。
ハラダ様を困らせるばかりの自分はやはり腹立たしく、そしてまたオキタ様も怒らせてしまったことを思い出します。

「さゆき、俺に話そうとしなくてもいいんだ。独り言言う程度に思っちまえば良い」

頭を撫でる手は、父をも反芻させます。

独り言でいいと言われても、これまた難しい話。
結局はハラダ様の耳に入ってしまうのでしょうから、そう割り切れません。
独り言程度の相談の手段という、オキタ様とのいざこざとは違うことを考え始めると、そのうち頭も冴え、涙も引いてきたことに気がつきました。

首を反らすように頭を上げると、微笑と慈悲の混じったような表情が見下ろしていました。

『ハラダ、様』

「・・・どうした?」

『私には、やはりリヴァイが特別な存在です』

「っ、」と一瞬、ハラダ様の端正なパーツ配置が歪んだように思えます。
ですが、その真意を汲み取る余裕も知識も無いために私は言葉を続けることに致しました。

『リヴァイだけは、これからもきっと、私のなかで皆さんと区別をしてしまうと思います』

体裁を気にした言葉はただのその場凌ぎにしかなりません。
いつかボロがでて、そのうち信頼や情を本当に絶ちきってしまう結果からはそう免れません。

私はそうなりたくありません。
今、自分やハラダ様が傷ついたとしても。

『リヴァイが誰よりも大事な私をっ、皆さんはお嫌いでしょうか・・・っ』

こんな言い方、狡いとは分かっています。
けれど、知りたいのはこの問題なのです。
チヅルちゃんや新選組の皆さんに言ったあの言葉は嘘ではないけれど、彼らの返答次第で私は・・・、



私は、此処に居られない・・・。














“「嫌いだ」”、なんて、言える訳がなかった。
それはただ単にこいつを愛していて、嫌われたくない気持ちに押し負けてるからじゃねぇ。
たぶん俺は、りばいを想わないさゆきは愛せないんだろう。

皮肉にも、一人の男が心に在るさゆきを好きになっちまってる。

だけど、“「好きだ」”と言えないのもまた事実。
りばいを心に残したまま俺を愛すさゆきなんて、存在し得ないというのに、俺の心はひどくそれを望む。


「・・・違ぇよ、少なくとも俺は・・・」

その先の返答が思い付かずに、俺はたださゆきを強く腕に抱きしめた。

この気持ちを理解してもらえればなんと楽なことだろう。
だけどそれは、優しすぎるさゆきをただただ苦しめるだけだ。

『ハラダ様?』

「・・・・・・」


ここで、好きだと言ったらどうなるだろう。
今にも滑り出しそうなそれは、さゆきの質問の答えでは無い。
話は別で、ただの俺の告白に過ぎない。
愛していると同義の言葉を、今、言えたら、さゆきを縛り付けられるだろうか?

勝手場の入口に潜んでる土方さんに、斬り倒されるだろうか?

でも、今言わなきゃ言えなくなる気がすんだ。
理由なんてわかんねぇけど、これが最後の機会なんじゃねえかって、身体中が騒いでやがる。

すまねぇな、さゆき。

俺は、


「さゆき、」

『・・・はい、いかがなさいましたか』

「好きだ・・・」

『・・・え、』

「お前を、愛してる・・・っ」









叶わないものだと誰かが嘲笑うのならば、














(愛されてることを感じさせてやるから)

(どうか今だけ、夢を見させてくれ・・・)



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