※いきなり時間軸下がります
ジェとシリの出会い

















人形の様だと思う。
その整った容姿の所為だろうか
感情の無い瞳だろうか
真珠の様に透き通る肌だろうか



初めて彼を見たとき、操られてるドールに見えたんだ。
精巧に造られたアンティークドール。

誰も寄せ付けない気高さに強く惹かれた

でも、彼が笑ったらもっと綺麗なんだろうと思った。









何かの童話に迷い込んだのかと錯覚した。
がさり、と小枝を掻き分けるとそこには誰かが樹に寄り掛かっていた。

その姿を見てジェームズははっとする。

「人形………?」


いや、ちゃんと生きてる人間だ。
耳を澄ませば息遣いだって聴こえる。
どうして生きた人間と人形を見間違う事があるのか、自分でも不思議だった。
きっと彼を見た者は誰であろうと区別がつかなくなる筈だ。
何故かジェームズにはその確信が有った。
そのすらりと伸びた四肢やローブの袖から見える透き通る様な肌、何一つ崩れのない美しい顔立ちはまるで造られた人形だった。

定期的に聴こえる呼吸音。
此方の様子に気付いていない。
どうやら眠っている様だ。
自然とジェームズの足は目の前の彼へと近づいていた。
少年の脇に手を付き覆いかぶさる様に顔を覗き込む。
近くで見るとより際立つ。
白い肌と対照的な黒い髪は今まで見た中で最も艶やかなものだ。
そっと頬に手を当てる。


「本当に生きてる………?」


とても現実の物とは思えない。
彼自身、いや彼の纏う空間全てが造られた物の様だ。
まるで御伽話の世界から現実に迷い込んだ人形。





「生きてるよ」


「!!」


たった今、命を吹き込んだかの様に少年の目が見開かれた。
突然目を覚ました事に驚いて動きが止まる。
差し出した手は行き場が無くなり空をさ迷った。
ああ、彼の心臓は今動き出したのだ。

どくり、心臓が脈打つ。



「お前、何してんの?」


「あっ、ご、ごめんっ!!」


素早く身体を後に引く。
初対面の癖に勝手に寝顔を覗き込むなんて明らかに失礼過ぎる。寧ろ怪しい奴だ。



「いやいやいや本当すいません!!いきなり寝顔覗かれたら怒るよね?」

「別に怒ってる訳じゃねぇよ」

興味なさそうにふあ、と欠伸をする。


「そのっ君が………」

「?」


「今まで見たこと無いくらい綺麗だったから!!」

「………………は」




しまった。
つい本音が出た。
弁解するつもりが余計な事まで言ってしまった。

目の前の少年が呆気に取られた表情で見ている。

うわぁあ引いてるーー!
絶対変な奴だと思われたよ僕!!



「思わず本音が…………じゃなくて!!い、今のは変な意味とか全然含まれてないから!!」


慌てて誤解を解こうとするが、どんどん悪化させてる気がした。
少年が下を向いて微かに奮え出す。
あ、キレた?


「………ぶっ」


「へ」

「ふっ……ははっ何だよそれ」


少年は怒るのでは無く笑っていた。
無邪気に笑うその表情は普通の少年と同じだった。
何だ、こんな顔もできたのか。


「はっ………あははっ 俺の顔を覗き込むのもそんな事言うのも、お前が初めてだよ…………ッ
お前、面白ぇな」



訳が解らずぽかんとしていたジェームズに今度は少年の方から近づいて来た。
そして人形の様な手でジェームズの頬に触れる。
その灰色の瞳はジェームズを捕らえて逃さない。

不味い、彼に引き込まれそうだ。
くらくらする。


「なあ、お前のそのヘイゼル頂戴」


俺に、と。
声色を艶めかせて囁いた彼の笑みは、この世界の物とは違う異彩を放っていた。







−−−−−−−−−−−−−−−


やっと続き書けた………!
つか進むどころか過去に遡ってるじゃねぇか!という気持ちの方もいらっしゃるでしょう
すいません
ジェームズったら覗き魔!もう!
あたしが覗きたいわ!!オイ
あーいや何かもうね………眠い何も言えん
あとから書き直したり付け足したりするかもしれません悪しからず

そして気付いた
これ蛇寮じゃなくても書けるよな!!




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