其処は学校と言うより城と呼ぶのに相応しい。 特別煌びやかという訳ではないが、広く趣のある校舎は荘厳な雰囲気に包まれている。 長く続く廊下の重々しさが数々の魔法使い達が誇りにして来た歴史を感じさせる。 その景色の中を歩いて行く一人の黒髪の生徒。 静かに、でも確かにその場に居た生徒達が注目する。 どの寮の者も関係無く今までずっと談笑していた者も、一人の生徒から目が離せなくなった。 見惚れずにはいれなかった。 皆が同じ事を思う。 きっとこの場所に最も似合うのは彼なのだ。 彼が歩いている動き一つ一つが絵の様だった。 そんな生徒達の視線を興味なさそうに通り過ぎて行く彼。 その首に掛けられている銀と緑が絡まり合う蛇のシルエットが付いたネクタイが輝いている。 寧ろ彼自身が輝かしさをより際立たせていると言った方が良いのかも知れない。 彼に付いているのが誇らしげにさえ見える。 感情の無い整った顔立ち、雪の様に滑らかで白い肌。それはまるで精巧に造られた人形の様だった。 「通れない、邪魔。」 澄んだ声が廊下に響く。 階段の前に立ちすくんでいた少女がびくんと反応し、即座に脇に避けた。 いきなり声を掛けられた事に驚いたのか、顔を紅くさせている。 すみません、謝ろうとしたが声に成らず喉の奥で熱くなって萎んでいった。 彼女を紅潮させた理由はそれだけではないだろう。 気遣いの欠片も無いような言葉でも、声を掛けられた事にこの上ない幸福を感じているのだ。 そんな女子生徒の反応に少し眉を潜めてもやはり感情の無い目で階段に足を掛ける。 「あっ」 その時、女子生徒がバランスを崩し足を踏み外した。 階段から落ちそうになり 咄嗟にシリウスの右の手首を掴もうとする。 ほんの少し触れた。 ただそれだけ。 「あ…………っすみませ…」 慌てて女子生徒が謝ろうとした少女が、シリウスの顔を見て青ざめる。 ああ自分は何と言う事をしてしまったのだ。 彼女の慌て方は普通ではない。 それにざわつく周りの生徒達の態度も同じ。 人形の様な顔を歪ませて少女を見下す。 腕に走る鋭い衝撃。 渇いた音が響く。 何か言おうとした前に掴んだ手を強く弾かれた。 「汚ぇ手で触んな!!」 突然の大声に周囲の生徒達も固まる。 女子生徒の犯した禁忌。 それは純血であるシリウス・ブラックに触れてしまったこと。 シリウスの行動にも驚いたが、彼等を困惑させたのはその表情。 叩いたシリウスの方が痛みを堪え、苦しそうにしているようだった。 両腕で自身の身体を抑えこみ全身で彼女を拒絶した。 呼吸が乱れ、額に汗が流れる。 貫かれる様な視線に彼女は存在を全て否定された気がした。 赤くなった腕がじんじん痛む。 蔑み嫌悪する瞳に動けなくなる。 困惑した。何も言えなくなった彼女に浴びせられたのは呪いの言葉に似た罵声。 心の底から軽蔑した声で吐き捨てる。 「穢れた血!!」 言葉はナイフより重く憐れな少女に突き刺った。 −−−−−−−−−−−− 無謀にも長編に挑戦してみました シリウスとそのモブ達以外誰も出てきてねぇ…… 何だこの空気な文章は もう! 中途半端にちょん切れてすいませんね この話のシリウスはマグル嫌いでマグル恐怖症 いろいろひどい とりあえずモブの女の子ちゃんごめん そして私は校内の構造を全く理解しておりません |