ふたなりと男
ふたなり、という概念があることはナツキスバルだって知っていた。かわいい女の子の股間に下手をすると男よりも凶悪なイチモツが生えているという二次元でのアレだ。男の娘と違うのは、ただ股間にペニスがあると言うだけでその肝心の女の子にはふわふわなおっぱいもあるし、ちゃんと女性器だってついているという謎の仕組みであること。どうしたことか非常にノーマルな性癖を持ち合わせているスバルはその絵で興奮するような人間ではないが、ネットの海をさまよっていればえっちな絵を集めたサイトで何度か見たことがある。

まさかその、謎な仕様を持つ女の子にリアルで出くわすとは思っていなかったが。

「えええええええエミリアたんあのその股間にお持ちの立派なブツは・・・」
「あれ、スバルは知らなかったんだ・・・ええと、龍の力がかかわってるのかな?徽章に選ばれるとね、その人はすこーしだけ体のつくりが変わってきちゃうのよ」

王選関係者には常識よ、と胸を張って言われて思わず絶句する。つまりエミリアの言葉が正しければフェルトにも、アナスタシアにも、クルシュにも、プリシラにもそういう・・・その、股間に男性器が生えているというのか。知りたくなかった、知りたくなかった新事実。実は王選の候補者は全員ふたなり。異世界すごい。

「特殊なエロゲかな?」
「えろげ?」
「あ、いや、な、なんでもない・・・でもさ、エミリアたん今までそれを教えてくれなかっただろ。なんで、今、俺に教えてくれたの・・・?」

騎士の誓いを立てた後に、エミリアの部屋に呼び出されてちょっとそわそわしながら向かえばこれだ。今は特に反応することもなく、力を失って股の間でくたりと垂れているエミリアの男性器を(ちなみにエミリアたんにお似合いのすごくかわいくて綺麗な形をしている)半ば呆然と見つめながらスバルはすこし震える声でそうエミリアに尋ねた。きょとん、とした顔をされて、桜色の綺麗な唇からこぼされた言葉に再度スバルは衝撃を受けることになる。

「なんでって・・・ロズワールが言ってたもの。騎士とはそういうことをするものだって」
「そ、そういうこと・・・って、何?」
「ええとね、生えてきたこれを舐めてもらったり入れさせてもらったり・・・?わからなかったらスバルに聞けって。スバルは舐めるとか入れるとか、どういう意味があるのかわかる?」
「意味は、わかる、けど・・・」

正気なのだろうか。実はロズワールが言ってることがただの性質の悪いからかい目的で、エミリアはそれに騙されているとか、ないだろうか。思わずまじまじとエミリアの可愛い顔を見つめると不思議そうな顔をしつつも微笑まれた。純粋な嬉しさが混じったその表情に、少なくともエミリアは真剣に言っているのだと察して冷や汗が垂れる。エミリアは真剣に、スバルにそのペニスを舐めて、かつ挿入させてくれと言っている。意味がわかっていないのがまた性質が悪い。

「・・・・一応、聞くけど、それは、ロズワールの冗談とかじゃないんだよな?」
「冗談・・・ではないと思うの。真剣な顔してたし、スバルにも言ってあるって言われたんだけど・・・何も言われなかった?」
「うーん・・・特に、・・・あ、いや、そういえば」

誓いを立てる前に、エミリアを受け入れろだのなんだの言われたような記憶がある。そんなのお前に言われなくても当たり前に決まってんだろ、と噛みついた覚えもあるので、きっとそれがそうだったのだろう。言葉が足りな過ぎるだろ!と厚化粧のピエロを散々脳内で罵ってからまたじっとエミリアの股間を見つめる。通常サイズ、というよりは少し大きめのその男性器の後ろには本来のエミリアの性器があるはずなのだがインパクトが強すぎて全くそちらに注意がむかない。綺麗な太腿も、というか生足もスバルの前にさらされているのにだ。

「・・・・スバルは、私と騎士の関係には、なりたくないかな?」
「えっ?!そんなことあるわけないじゃん!全然なりたい!かなり!てか誰にも譲りたくない!」
「でも、乗り気じゃなさそうだし・・・」
「エミリアたんにはそう見えちゃった?ちょっとあまりの光栄さに一瞬意識が飛んじゃったんだよな・・・エミリアたんこそ本当に、俺でいいの?」
「うん、スバルがいい。スバルが私の騎士になってくれて、私、すごーくうれしいんだから」

にこ、とかわいらしく微笑まれて思わず乾いた笑いが漏れた。どうしよう、エミリアたんはすごーく可愛いのに股間に鎮座しているブツは全然かわいくない。というかスバルよりも大きい。口に咥えるのはさておき、尻は死ぬ気がする。血が出る、絶対に。未来では可能かもしれないが今は無理だ。嫌なのにそれを将来体の中に受け入れることを考えてしまう自分自身に対しても笑いを漏らしながら、スバルは目の前に座るエミリアの手を握った。彼女の目にも微かな怯えを感じ取ったからだ。スバルの行動に嬉しそうにはにかんで、きゅうと手を握り返されて目の前の少女に改めて愛しさが沸く。

「・・・・俺に、まかせて、エミリアたん」
「うん、スバル」

お願いね、と信頼に満ちた目で言われれば腹をくくるしかない。さようなら俺のおくちとおしりの処女、とスバルは心の中で涙を呑んで失うはずのなかったそれらに別れを告げた。





「あ、ああ、あ、すばる・・・・」

畜生、エミリアたんの喘ぎ声がめちゃくちゃかわいい。しどけない格好でベッドに横たわり、スバルの手が導くままにかわいらしい喘ぎを漏らしているエミリアを見るのは正直なところ、スバルにとっては拷問に等しかった。どうして好いた女が乱れているのに手を出してはいけないのだろう。まぁ誰にも手を出してはいけない、とは言われていないし、実際に別の性器には手を出しているので何とも言えない気持ちにはなるのだが、きっと今スバルが丁寧に育てているペニスのその奥に触れることまでは、許されていないのだ。だってそこは騎士と巫女の関係とはまた別の、本当にエミリアが好きになった、もしくは選ばれた人間が触れることが出来る場所で。

「・・・・きもちい?」
「うん、うん、すごくきもちいい・・・」

とろんと蕩けた紫色の瞳がぼんやりとスバルを見ている。紅潮した頬も、ときおりぴくりと動く体も、濡れた桜色の唇も、何もかもが淫靡だ。硬くなり始めている自分の性器を実感しながらも指でカリ首を擦ったり鈴口からあふれる先走りの滑りをかりて竿を刺激したりといつも自分がしているように指を動かして、エミリアのペニスを勃起させていく。すらりとして形のいいそれはもともと生えていたものではなかったからだろうか。色も子供のようにピンクで綺麗で、思わず感心してしまったほどだ。

「・・・あ、すばる、」
「どした?」
「なんだか、腰のところがむずむずするの。それ以上スバルに触られると、わたし・・・」

変になる、と体を捩ってエミリアが喘いだ。まさかとは思うが、射精したことがないのだろうか。たしか、エミリアが徽章に選ばれてから少なくとも一年は過ぎているはずだ。キスで子供が出来ると思うぐらい知識がなくてもさすがに生理現象までは・・・・と思ったが、その可能性があるのがエミリアだ。引きつりそうになる口端をどうにか抑えながら、手を止めてエミリアに問いかける。

「え、と。エミリア、ちょっと聞きたいんだけど」
「・・・・・うん?」
「ここから、何か・・・その、へんな白い液体とかでたことあった、かな?」
「ううん・・・おしっこしか出たことない・・・」

ほやほやと子供のような口調で幼くそういわれて、絶望の音が聞こえた気がした。つまりスバルが教えなければいけないのだろうか?実施で?男女の交わりを経て子供が生まれることすら、そんな生々しい現実を何も知らないエミリアに?

「難易度Sランクじゃないのこれ……」
「ん、……すばる?」

呆然と、思わず手婬を止めたスバルにエミリアが切なそうに声をかける。続けてほしい、と期待を込めて名前を呼ばれては途中で止めることなどできやしない。それに今の、頭のふやけたエミリアに何をどう説明してもきっと理解してくれないだろう。テメーが教えておけよ!と脳内のロズワールを想像の中でボコボコにしつつ、半泣きでスバルは丁寧に手を動かす。

「す、すばるっ・・・・あ、やだ、」

元々体が変だ、と予告は受けていたのだ。決壊はそれからすぐだった。何か出ちゃう、とひんひん可愛らしく声を上げて前触れ無く絶頂したエミリアは正直とても可愛かった。だから予想以上に勢いがあった精液らしき液体を思いっきり顔にぶちまけられても、スバルは文句は言わなかった。







「ご、ごめんねスバル」
「ううん。気にしなくていいよ」

ごしごしと必死にエミリアがスバルの顔を布切れで拭いてくれている。髪にまで飛んだ精液……らしき何かは本物に比べるとそこまで匂いもないし味…はスバルはしらないが聞いた話である「苦味」も特に強くなかった。口の中にもいくらか入ったそれをティッシュに吐き出しつつ、ちょっと力の強いエミリアの奉仕を堪能する。

「………まだ、元気だなぁ」
「う、うん。こんなこと初めてなんだけど……」

ちらりとエミリアの股に目をやる。そこに起立する狂気はまだ健在だった。そこそこの量を吐き出したにもかかわらずまだ勃起を保っているそれに思わず喉を鳴らす。期待とかでは断じてない。恐怖にだ。



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