ライドンの塔にて
「……ゼシカの有り難みっていうかよ、」
純粋な魔法使いがいない時に限ってこれはないんじゃねーか、と刃が欠けてしまった聖銀のレイピアを自分の袋へしまいながらククールが言った。たしかにライドンが作った塔の中に出てくる魔物ときたらみんな石やら金属やらで出来ていて、まともにやりあうと一気に武器が消耗してしまう。そんな敵の性質もあって、ゼシカほどの魔法使いが抜けた穴を塞ぐのは中々厳しかった。予備のテンペラーソードを取り出して渡すとククールは一度舌打ちをしたあとに礼を言ってそれを受け取った。
「これ、攻撃力下がんだよなぁ…。なぁエイト、ちと荷物が重くなるだろうが同じ武器をよ、予備に持っておいたほうがいいかもな」
「別にそれでもいいけど…お金は誰が稼ぐの?」
「あん?そりゃあカジノでパァーッと一発」
ベルガラックのカジノなんかはそろそろ再開してる頃だろ、と少し楽しげな顔をしてククールはテンペラーソードをくるくると回した。


prev next

bkm
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -