ドラクエ小話集
主テリ、主クク以外の何か。考察とか小話。






8主ミ

私の目元にはすっかり皺が増えて、でもあなたは何も変わらないのね。ずっと昔のまま、ミーティアとエイトとお父様、それからヤンガスさんにゼシカさんにククールさん…。みんなと呪いを解くために旅をした、あの時のまま。これが龍神族の血と言うことなのかしら。グルーノお爺様が仰っていたのはこういう事だったのですね。優しい笑みを浮かべたエイトに手を取られる私の姿は、孫と祖母の関係とでも勘違いされてしまうかもしれません。私達の歳はそう変わらないのだと言っても、信じてくれる人は少ないでしょう。子供たちだって、最初は不思議がっていましたものね。私だけが老いるばかりで、エイトは何も変わらないものだから……。
ねぇエイト、貴方は寿命の違う私と一緒で後悔したことはありますか?私はないのよ。例え私が龍神族で、貴方が人間だとしても。私は後悔なんてしないわ。命の長さがちがくても、同じでも、別れはいつか来てしまうのだから。
ミーティアはしっかりと、エイトと一緒の時間を過ごすことが出来たと思います。幸福な思い出ばかりが胸にあるわ。今でも強く思い返せるほどに沢山…。エイトは違う?私は思い出を渡せなかったかしら。どう?
………ふふ、それは良かったわ。わたし… あら、ちょっと、あなた?泣かないでくださいまし、ね、エイト。私はまだ死にませんよ。ククールさんだって、あと20年は元気だなって、言ってくださったぐらいなんですよ。
ごめんなさいね。でも、この気持ちは私が健康な時に伝えておきたい。そう思ったのです。だって病床でこんな話はできませんもの。私は嫌です。身が弱っているときにこんなお話をしたら、きっと泣いてしまう。そうしたら心も弱くなってしまうわ。だから今言おうと思ったの。
でも、そうね。少しだけ心が弱っているのかもしれないわ。体調も崩しやすくなった気がするし、おばあちゃんになるって、ちょっぴり嫌ね。
ねぇ、エイト。ミーティアを強く抱きしめてくださいな。こんな気分は空に吹き飛ばしてしまいたい。あなたに抱きしめられて、背中に腕を回している時が、私の一番幸せな時なのよ。


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bkm
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