夜になると、空を魔物がさらに飛び交うようになった。雨が止んだのも一長一短ということだろう。デスマウンテンから飛び出してきたのか、ファイヤキースが飛んでいるのを見つけて舌打ちをする。うまく使えば薪代わりにもなるかもしれないが・・・、あれは戦闘能力のない人間には酷く凶悪な魔物だ。
「マントを被っていろ」
「・・・どうしたのです?」
「空に魔物が増えてきている。その髪色は目立つんだ」
ただのバブルやキースならなんとかなるが、それ以外だと万が一ということがある。剣も鞘に納めて、少しでも可能性を無くす。最も朝日が上がってしまえばそれも意味がなくなるだろうが、少しでも体力を温存させるためにはやっておいて損はない。
獲物となる人間でも見つけたのか、キースが甲高い喜びの叫びをあげているのが聞こえた。