『』
昔通って来たような道を歩くと懐かしい顔が見えた。今まで会ってきたいろんな人たち。ラウル、デクの木様、マロン、タロンさん、サリア、ルト姫、ダルニア、インパさん、ナボール、ゼルダ。

『リンク!』

皆が手を振っている。名前を呼ばれて駈け出した。まるで昔に戻ったみたいに体が軽くて、笑いがこぼれ出た。皆が僕の名前を呼んでいる。

『久しぶりですね、リンク』
『リンク、』
『リンク!』
『リンク』

久しぶり、また会えたね、と握手をして、ハグをして、頬にキス。時折お疲れ様、とかけられる声。いつの間にか帽子は落としてしまったみたいで、頭がすーすーした。最後に点までそびえるように大きな木の下にたどり着く。

『デクの木さま』
『おお、リンク、リンクよ』

大きくなって、と差し出された枝に抱きつく。息を吸い込むと懐かしい森の匂いがした。故郷の匂いだ、育った故郷の・・・。ぽろりとこぼれた涙は知らないふりをした。

『リンク、・・・』

大きくなったわね、と知らない声がデクの木様の近くから聞こえた。顔を向けると綺麗な栗色の髪をした女性が立っていた。見たことのない顔だ。記憶力はいい方だと思ってたんだけどな、と頭を掻くと女の人はゆっくりと近づいてきて、少し震える手で僕の顔に触れた。

『お父様に、似ているわ・・・』

と息のようにか細い声で、言われた言葉にはっとして思わず手を取る。女性の目は透き通るような青い色をしていた。お父様に似ているわ、ともう一度、こんどははっきりとした音量で言って、女の人は目から二粒涙をこぼした。

『、お母さん』

目の色は貴女と同じですよ。そう言って目の前の体を抱きしめた。初めて会う母親はどこか甘いミルクの香りがした。


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