書いてて混乱しそうなので最悪別ルートにするかも。







吐き出しそうなほど不味いだけあって薬の効き目は劇的だった。頭の痛みはだんだんと消え去り、幾分クリアな思考が戻ってくる。だからといって記憶がどうにかなるわけではなかったが。

「はい、口直し」

なんとか瓶の中の薬を全部飲みほし、後味に耐えているとコップが差し出された。礼を言って受け取り匂いを嗅ぐ。ひんやりと冷たい鉄製のコップにいれられている白い液体からは、色々なものを混ぜ込んだような薬とはちがうほんのりと甘く優しい匂いがした。

「何?これ」

リンクはすぐには答えなかった。真顔のまま俺の顔を見つめて、静かに「ロンロン牛乳」と言った。

「甘くておいしいから、飲んでみろ」

きっと気にいる。そう言われて記憶をなくす前の自分はこれが好きだったのだろうかと思った。両手でコップを支えて中の液体を口の中に流し込む。確かに自分の好きな味だった。まろやかでそれで少し甘くて、口内に残ったままの薬の味を洗い流してくれる。

「美味しい・・・・」
「だろ、俺もこれが好き」

温めて、ほんの少しはちみつを入れたのも良い、とリンクは楽しそうに言いながら先ほど渡してくれた瓶とは違う瓶のコルクをあけた。瓶の中を半分ほど満たしている、暗がりでぼんやりと白く見えるそれもロンロン牛乳だろうか。それとも違う薬だろうか。

「牛乳、おかわりは?」
「・・・・少し」
「はいよ」

少しでいいといったのに彼は結局瓶の中のすべてをコップに注いでくれた。

「それもな、体力を回復するし、あとは単純に美味いから全部飲んで」
「確かに美味しいけど・・・」
「お前、2日は物を食べてないんだぜ」

人間は食わないと死ぬだろ、と瓶にコルクを嵌め直しながらリンクが言った。どうも違和感のある言い方をするなぁと思いながらまたコップに口をつける。一口それを飲んでから、ありがとう、と言うと彼は少し笑って、それから照れたように「いいよ別に」と言った。


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bkm
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