野生のコッコが時を告げる声で目を覚まして、二人で薄暗闇の中を歩きだす。リンクが言っていた通り、森にたどり着いたのは丁度太陽が自分の真上にくるころだった。

森の中は昼間なのに薄暗く、薄い霧に包まれていて少々不気味なところだなと思った。リンクが懐かしいなぁと言って、繋いでいた手を離して森の中に踏み込んで行くのについていこうとすると、流れるような動きで剣を向けられた。目の前に突き付けられた剣の先が、やけに暗い森の中で白く光って見える。驚いて一瞬動きを止めると、リンクはにやりと笑って歌うようにこんなことを言った。

「森の中に迷い込んだヒトは、みーんなスタルフォス」
「リンク?」
「だからそこでまってて、ダーク」

迷ったら骨になっちゃうよ、と笑い顔で自分に言い残して、鞘に剣をおさめ、リンクは森の中へ駆けて行った。あはははは、と笑う子供特有の甲高い声がやけに辺りに響いて、ゆっくりと消えて行った。それと同時に妙に温かな風が吹いて、ふと視線を感じて上を見上げると黄色い目をした黒っぽい生き物が木の上から自分の様子をうかがっているのが見えた。一つ、瞬きをするたびに2匹、3匹と増えて行くのにどうやら歓迎されていないらしいと悟って、入口から少し離れた所へ移動する。森へ背中を向けて、どうせすぐには帰ってこないのだからと自分が身につけている剣の手入れを始める。二振りの短剣を隅々まで磨いているうちに、背中に感じていた視線はいつの間にか消えていた。



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bkm
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