神殿を出、同じく幼いゼルダ姫にガノンが七年後何をしたか、その悪行を語り終えて、それから二人してなんとなしに手をつないだまま迷いの森へ歩いていった。リンクはなんだかやけに大人しくて、たった二日の旅路はとても静かだった。七年後はあんなにおしゃべりだったのになぁと思いながら、七年後の彼に教わったやり方で火をおこしてチーズとパンを炙った。リンクは小さなナイフで、城下町で買った真っ赤なリンゴを剥いていた。薄くそがれた皮がくるくると螺旋状になって、ぷつりと地面に落ちる。体の大きさは変わっても、技量は変わってないんだなとわかって少し安心した。
「はい、ダーク」

綺麗に二等分され、手渡されたリンゴをかじると芳醇な香りとさわやかな甘酸っぱさが口の中に広がった。おいしい、と感想を言うとリンクは少し微笑んで、今年初物のリンゴだって店のおじさんが宣伝してた、と言った。

「森までもう少しだよ。明日の昼にはつくと思う」

二人でリンゴをまるまる一個食べ終わった後、恐らく迷いの森があるんだろう方向を見ながらリンクがそう呟いた。丁度いいぐあいに焦げ目がついたパンに蕩け始めたチーズを乗せていた手をとめてそちらを見るも真っ暗闇の中では何も分からなかった。



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