あっちからもってきました



向こうに帰ってしまう前に、どうにか割り込んで腕をつかんだ。一瞬驚いた顔をしたのにすぐに困ったように笑って、姫にこいつもつれていっていいかって聞いてくれた。姫は少し迷って、でも頷いてくれた。少しでもあなたの救いになってくれれば、という言葉に変な顔をして、僕はあなたを救えてよかったよとリンクは言った。そこで強い光に包まれて、七年先とは永遠にさよなら。

気がつくと神殿の中で、小さくなったリンクと手をつないで立っていた。それと同時にリンクの帽子からふわりとナビィが飛びだして、くるくると彼の周りを回った。そのままさよならも言わずに上の天窓から出て行ってしまったので、何故、とリンクに聞くと僕がコキリ族じゃないから?と疑問形の返事が返ってきた。始めて聞いた七年前のリンクの声は高くてきんきんしていた。

「コキリ族?」
「ダークは知らないんだっけ、僕の故郷の・・・故郷の、迷いの森ってとこに住んでる種族なんだ」

そこで生まれたコキリ族にはみんな、一匹の妖精がつくんだと言ってリンクは何かを思い出すかのようにどこか別の遠い所をみていた。だからナビィはどこかに行ってしまったのか、と思いながらでもさよならぐらいは言ってもよかったんじゃないかと思った。リンクはそれを見透かすように、ナビィには本当は相棒になるコキリ族がいたんじゃないかなと言った。きっとデクの木様が僕を助けてくれって言ったから、今まで一緒にいてくれただけ。

「・・・迷いの森に行ったら会える?」
「どうだろう」

会えるといいなぁといってリンクは自分とつないでいた手を少し強く握った。リンクの手は子供に戻ったせいで小さく、ふくふくとしていて七年後の面影はこれっぽっちもなかった。



prev next

bkm
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -