プリーモ様の憂鬱。【アラジョ】



HENTAIアラウディ序章


※アラウディのキャラが激しく壊れています。
かっこいいアラウディでなきゃ嫌!!クールなアラウディでなきゃダメ!な人や、え、寧ろこのポジションはスペードじゃないの?って人はすぐに逃げてください。
本当に、アラウディが残念なHENTAIです。プリーモのことが好きすぎて、おかしくなってしまった模様。大丈夫な方、好奇心に駆られた方だけ閲覧をお願いします。

******

物好きな、お嬢さん。本日は、私。影の声が、ことの説明をしていきましょう。

ボンゴレの創始者であるジョットには今、悩み事があった。元より、「ボス」である彼には様々な悩みがあるのだが、今回は組織のことではなく――――プライベート上の、深い深い悩み、なのであった。―――――その、悩みとは。

「ジョット、入るよ。」

執務室の扉を叩く音のすぐ後に、扉が開かれる音と、聞きなれた声。彼―――ジョットの守護者の一人で、「雲」に位置する男。アラウディである。その男が現れるや否や、ジョットはペンを動かしていた手を止めて視線を上げる。実はこの二人、公にはしていないが、愛を誓い合った恋人同士。性別だとか立場だとか、そんなもの想い合ってしまった二人には関係ない、とばかりに周囲の反対(二人くらい)を押し切り、晴れて結ばれたのではあるが。

「やぁ、今日も麗しいね、僕のジョット。女神かと思ったよ。」

「あぁ、お前は今日も頭の中が春のようだな。」

「僕の頭の中はいつもお前のことでいっぱいだよ。僕の心におっ立つ三本柱は友情・努力・勝利じゃなくて、ジョット・ジョット・ジョットだからね。」

「パクりはやめんか」

「何のことだい? 怒った顔も可愛いね。僕のジョット。」

・・・勘のいい、いや良くない者でも、もうお分かりだろう。ジョットの悩みとは、守護者であり、恋人のアラウディのこと、であった。とにかくアラウディという男は、ジョットにこれでもかという程ベタ惚れで、心底愛し抜いている。優先順位はジョット、ジョットに近づく男は例え右腕であろうと容赦無く攻撃する。たまに休みが合えば、一日中べっっっったりとくっついて、愛を囁いたり、恋人同士の営みに励んだり。・・・まぁ。ここまででは、ただの惚気、贅沢な悩みだなと思われることだろう。だが、ジョットの悩みはそんなものではなく。

「ところでアラウディ。」

「うん。なんだい?」



「お前のポケットからはみ出している私の下着、返して貰おうか。」



アラウディは真顔で黙り込み、すぐに短く息を吐き出すとポケットに手を突っ込み、ジョットのものと思われる下着を取り出す。ジョットはこめかみを押さえ、深く深く、息を吐き出した。無論、アラウディのそれよりも、深く、ふかーく。アラウディはと言えば、下着を取り出したもののジョットに差し出す様子は見せず、それをじっと眺めてから、再度ジョットへと視線を向けた。

「何で解ったんだい?」

「超直感」

「あぁ、なるほど。」

特に驚いた様子も無く頷くと、アラウディは持っていた下着をそのままポケットに押し込んだ。ジョットが口端を引きつらせてアラウディを見る。

「おい」

「これはもう僕のだから。返さないよ。」

当然、とばかりの口調に、ちっとも悪びれた様子のない態度。いつも通り、である。とうとうジョットは机に突っ伏して、先程よりも更に深く、溜息をついた。こつこつと足音を立てて、アラウディがジョットへと歩み寄る。今にも机に沈んで行きそうなジョットの髪をくしくし撫でて、不思議そうに首を捻り、上から顔を覗き込んだ。

「どうしたの。」

「お前、なぁ・・・いくら恋人同士とはいえ、下着を盗むのはどうかと思う・・・。」

「盗む? 人聞きの悪い。お前のものは僕のものだよ。お前が履いた下着は僕のもの。お前の靴下も、お前のシャツも、全て僕のものだ。」

―――アラウディは。ずっと、こんな調子なのである。
付き合い始めてから、ずっと。行き過ぎた独占欲というか、単なる変態と言うか、とにかくジョットが身に着けたものに執着する。無論、ジョット自身にも。それが愛あればこその行動だと解っているからこそ、ジョットは未だ本気で怒ることが出来ないでいる。
何のかんのと言っても、結局ジョットもアラウディにベタ惚れ、なのだった。さすがに、アラウディが自分の下着の匂いを嗅いでいた時はドン引きしてはいたのだが。・・・・・・そんなことをされた時点で、愛情は冷めていきそうなものだと、影の声は思う。

「お前がそうやって下着を盗むから、俺の下着が無くなるんだ。」

「それなら、いつも新しいのを贈っているだろう? お前に似合うと思って、出張するたびにランジェリーショップで買っているんだよ。」



「ベビードールとかビスチェだとか、誰が着るんだ、誰が!」


ここでまたしても、アラウディは不思議そうに首を捻る。何を怒ってるのか、とでも言いたげだった。―――恋は盲目、という言葉は、今の彼の状況に当てはまるのか否か。ともかく彼は、自分のしている行動に、全く持って違和感を感じていない。これが、大人になってから初恋を体験することになった男のする行動なのか―――と。影の声は、思わざるを得ない。

「僕は、お前に贈ってるんだけど。」

「フリルたっぷりのベビードールだとか、一体これでどこを隠してるのかと問いたくなるビスチェをか。」

「可愛いだろう? きっとお前に似合う。あ、そうだ。何なら今着てみてくれないか?丁度新しいやつも仕入れてきたことだし」

「だが断る。」


間を置かない拒否に、アラウディはそこで漸く、眉を潜めた。不満たっぷりな眼差しで、ジョットをじっと見つめる。目力がやたら強いアラウディに、ジョットは僅かに怯むが、負けじと睨み返し、アラウディはふぅ、と息をついて首を緩く振った。

「どうして。僕がお前を想って買ってきたものなのに。」

「俺を想うなら、頼むから性別にあったものを買ってきてくれ!!」

「そんなの関係ないよ。僕が。お前に。似合うと思った。だから、買った。」

わざと言葉を区切り、言い分を主張する。ジョットは今度こそ、机に沈みそうになった。アラウディに、性別云々とかいう話は通用しない。これももう、随分前から解っている。男だ大人だ何だと反論しても、アラウディにとっては、「だから何」という程度のこと、なのだ。

「お前は本当に、綺麗で麗しくて、それでいて可愛い。そんなお前が、僕の贈った下着を着て僕を出迎えてくれたら、それはどんなに・・・どんなに幸せなことか・・・」

「妄想するのは勝手だが本人のいない場所で頼むあとヨダレをふけ。」

「(じゅる)おっと、つい。美味しそうで・・・。」

口元を拭うアラウディの姿に、ジョットは項垂れる。何でこいつなんだ、とか、何で最初から超直感で気付けなかったんだ、とか、色々頭を巡ったようだが、結局のところ、「でもやっぱり好き」―――――影の声には、好きになる理由が全く検討もつかないが。
―――ゆえに、彼の言う「悩み」も。影の声にとっては、ただのバカップルの惚気、としか受け取ることが出来ない訳で。
早い話、我々は。
行き過ぎた愛情を持って接する恋人に戸惑うも、結局のところは好きだから甘んじて受け入れてしまう―――という、どうでもいい惚気話を、聞かされていただけなのだ。

――――PCの前の貴方には、もしかしたらもう見えているのかもしれない。この二人の、行く末というものが。徐々にエスカレートしていく、アラウディの姿が。アラウディがどんな変態行為をしようとも、何故かアラウディを好きでい続ける、ジョットの姿が。


それはまた、別の機会にお話させていただくとして。未だでれでれと惚気あう二人を横目に、疲れた影の声はとりあえず、そっとこの場を退場させて頂くことにする。


END




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