「おはよーございます」

「おはよう、そして遅刻だ」

「知ってるよー」

笑顔でチェックを付けられるその女は変わり者だ
何故反省しないのか不思議だ

「反省しろ、白月」

「今度こそするって!」

じゃあ授業遅れるから行くね!と言い残して行ってしまった彼女を見て思わず溜め息が出る
遅刻さえしなければ品行方正な奴なんだが

授業中はきちんとノートを取って真面目に聞いている
ますます気になり彼女をじっと見ていると隣の席の総司が俺の方をつついてきた

「なんだ、総司」

「なんか渚ちゃんばっかり見てるからさ好きなのかなって」

総司の言った事が理解出来ず席を立ちそうになった
何故そうなるのだ!

「なっ…断じてそんな事は」

「だって熱心に見てるじゃない。単純に考えればそうなるよ」

「…そんな事無いぞ」

「まあ良いけど」

総司は面白く無さそうに言った
そんなに俺の恋路を聞いて楽しいものだろうか
しかし総司にそんな事を言われたので白月の事をもっと意識してしまった放課後、部活が無かったため帰り道を歩いているとふと目に入ったのが白月だった
川の袖に座り込んで何かを覗き込んでいる
気になってそこに行くと彼女が俺を見上げた

「あれ、斎藤くん」

「白月、それは何だ」

「これ?子猫ちゃんだよー抱いてみる?」
「ああ」

よく見ると全身真っ黒な猫だった
ミーと小さく泣いていて丁重に扱わないと壊れてしまいそうだ

「可愛いでしょ?」

「…そうだな」

ニコニコと笑う彼女につられて俺も自然に笑顔になる
俺はふと思い当たった

「何故ここで猫を?」

「私の家で飼えないの。お母さんが猫アレルギーだから」

「そうか…」

彼女はいとおしそうに子猫を見つつ嬉しそうに話した

「朝から見に行くの楽しいよ」

「朝からだと?」

ならば遅刻していたのはこの子猫の世話をするためなのか?
俺は子猫を抱きつつ彼女を見た

「…俺が飼う」

「えっ斎藤くんが?!」

「遅刻せずに済むだろう。だから子猫の様子は俺の家で見ればよい」

「ありがとう!」

彼女の笑顔に俺は少しどきりとなった
その頭に手を伸ばし撫でると彼女の顔が少し赤くなった


その思いだけは胸に留めて



………………………………………………

「嘘つきな月」管理人鈴里様より相互記念にいただきました!
正に私の大好きな"風紀委員"の一くんで悶えました…!
鈴里様、ありがとうございました。
back
「#お仕置き」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -