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ウォールローゼ内訓練地にて、本日104期訓練兵団入団式が執り行われる。エミリーは調査兵団服に袖を通し名簿を持ちキース教官の部屋へ向かう。


キースから先に行っておいてくれと言われ訓練兵が集まる中エミリーは遠目から一人一人観察していた。


訓練兵を上から見ている関係者を見つけ、足早に駆け寄る。



「視察ですか?」

後ろから訓練兵を見る2人組に声をかける。

「君は、調査兵団の側近のエミリー・アメリア補佐官ではないですか。」

年上の方がエミリーをみて驚く。

「お知り合いですか?」

「壁が破られた日の英雄だ、彼女が居たおかげで船着場へ一切巨人がこなかった。華翼の天使かよくのてんしと噂されていた。」

かよくのてんしい?何それ。凄く変。

「彼女が、あの時の……」

「もう、何年も前のことですよ。」


訓練兵に目を向けながら愛想笑いをして、彼らの話を聞き流す。キースが兵舎から出てくるのが見え

「すいません。入団式へ向かいます、何かありましたらお声がけ下さい。」

「では我々は兵舎内を見せて頂いても?」

下り坂を共に歩きキースに会釈する視察班。エミリーは彼らの前を歩きながら兵舎側に立つ。彼女の前にキースが歩み寄り

「入団式後、名簿から兵舎の振り分け案内を頼む」

「かしこまりました。」

名簿に目を通し、書くものを右手で持ち左手には書類を板に挟み抱え持つ。








キースは整列する訓練兵の前に立ち

「ただ今より第104期訓練兵団入団式を行う!」

キースの声と共に緊張が増す訓練兵。

「私が運悪く貴様らを監督することになった、キース・シャーディスだ」


整列した訓練兵の中にエレン、ミカサ、アルミンを見つけ。本当に訓練兵に志願したんだなと実感する。

キースは自己紹介を簡単に済まし整列された訓練兵の前に立ち一人一人顔を見ながら罵っていく。



こんなにも罵声を浴びせるなど思ってもみなかったことが行われ、エミリーは内心引きながらその様子を見ていた。


隣でその様子を眺めていた視察の方が「やってるな。 」当然かのように見ていた。

部下に対して「お前もやられただろ」と聞かれ昔を思い出しながら苦笑いを浮べる部下は

「あの恫喝にはなんの意味があるんですかね」

「通過儀礼だ。」


通過儀礼ねえ、確かにここは中途半端な覚悟で来ると死ぬと言われてる場所。そんな所に足を踏み入れようとしている彼らには必要な過程だろう。


それにしても、よくあそこまで鬼になれるなと感心するばかりだ。


エレンとミカサは通過儀礼を行われることなく後ろ向きに整列されアルミンはキースの何かに引っかかったのだろう、少し脅され意外とサラッと終わり後ろ向きにされた。



私は歩きながら今回の志願を一通り見ようと、グルっと綺麗に整列された外周を回りながら様子を見る。



安心した内地に暮らすため憲兵に入りたい者
王の元で仕えたい者
敬礼がまともに出来ずキースに頭を掴ま持ち上げられる者
芋を食べ半分キースに分けようとする者



いつもこんな個性的なの?と思うくらい個性豊かな人材が揃ったなと思う。


芋を食べてた訓練兵は入団式後、そのまま寝るまで走らされる事になった。








兵舎前で訓練兵が密集し、エミリーの前に人だかりができ彼女はなるべつ訓練兵全員に聞こえるくらいの声の大きさで自己紹介と説明を行う。


「補佐官のエミリー・アメリアです。今から訓練兵の兵舎内を案内します、これからあなた達が生活する部屋を振り分け各自割り当てられた部屋の清掃をお願いします。」

名簿と兵舎内の地図と照らし合わせ、出身と名前を見て振り分けているエミリー

「あの人調査兵団の服着てるぜ……」

「引き抜き目当てか?」

「勧誘か?」

「にしても、綺麗な黒髪だな。」

「よくみると、かわいくねえか?」

訓練兵が騒がしくあちこちで話をし始める。



「エミリー?!!」

エレンとミカサが列を押しのけて最前列に来て聞き覚えのある名前と顔に驚く。

「エミリー!」

ミカサがエミリーに駆け寄り抱きつく。


「ミカサ、今は訓練中だからね。こういう事は協調性に関わることで、審査内になっちゃうから控えようね」

といい、ミカサを剥がす。

「質問等は、案内後聞きます。横3列に整列して下さい。兵舎内の案内をします」


ミカサ、エレン、アルミンが先頭となりその後に男諸君の訓練兵がエミリー見たさに駆け足で整列し始める。整列終了後、食堂、トイレ、給湯室、男女別浴場 別棟に兵士の各部屋がある。




兵舎を出て、エミリーの指示で兵舎内で共に部屋を過ごす兵士ごとに縦に並ぶ。

「以上があなた達が主に使う兵舎内です、何か質問等ありますか?」

「エミリーさんは、彼氏とかいますか?」

「調査兵団所属なんですか?」

「エミリーさんもここで一緒に暮らすんですか?」


「業務内にしてほしいなあ。」と苦笑いを浮かべながら。「その質問に答えたら、あなた達は調査兵団に入ってくれるのかな?」と言うとみんな黙り込む。

「いいぜ、入ってやるよ」とガタイのいい訓練兵がエミリーに言い返すが。

「あなた、巨人見たことないでしょ」

「なんだよ、だったらどうした。」

カンに障ったのか男が不機嫌になりエミリーを睨む

「別に、たださっきのキース教官の話何も身になってなかったのね。」

無表情で絡んできた訓練兵を見返す。訓練兵は何も言うことが出来ず悔しそうに目をそらす。

「では、各自部屋の確認してください。右の列から手前の部屋に入っていってください。必ず1列に並んでる方が同じ部屋になるように、勝手に入れ替わらないようお願いします。そのような事があったら、わかりますよね?」といいずっと走ってる訓練兵の方を笑顔で指を指す。



各列自分の部屋に入っていき荷物から私服に着替え、部屋でくつろいだり、兵舎内を歩き回ったり各自が自由に過ごしていた。


エミリーはずっと走る訓練兵が終わるまで、ずっと資料を抱えながら待って居ると後ろからエレンとミカサ、アルミンが話しかけてきた。


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