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第23回壁外調査の明日へと近づき、その際初めての作戦が使われることとなった。前からエルヴィンがキース団長と何度も話し合い練ってきた作戦となる。新兵の3人にはまだ聞かされていない為。リヴァイとファーランはフラゴン分隊長が連れ、イザベルをエミリーが連れ。今回の作戦を頭に叩き込む為の部屋へを集める。
作戦説明の為、エルヴィンが大きな紙に作戦図を壁に広げ皆わかるように張り出していた。
生き延びて帰還を果たすために、巨人と戦って勝つことではなく「いかに巨人と戦わないか」を考慮して練られた作戦になる。
陣形は進行方向に対し半円状になっており、距離を広く開け、視認できるギリギリの範囲にまで各隊員は離れる。
半円状の陣形の外周部に位置する索敵班が進路上に巨人を発見次第、警告である赤の信煙弾を打つ。
それを見た左右の兵士が同様に信煙弾を打ち上げる。全隊へ巨人発見次第をスムーズに伝達し
本隊の団長がそれを受けて進行方向を変える合図である緑の信煙弾を打つ。
今度は陣形の中央から末端へ緑の信煙弾が伝達され、全隊の進路が伝わるという仕組みになっている。
「ただ、今話した内容は通常種のみ。黒の信煙弾、緊急事態・奇行種だ。」
奇行種には先ほどの作戦は役に立たないため被害を避けるために実力行使が必要となる。
一通りの説明を終え、フラゴン分隊長へバトンタッチされる
長距離索敵陣形がいかに優れていても、巨人は避けて通れない。予想外の事態への対応が最も重要であると
私の方をチラッと見みたあと3人へと視線を戻し「この班はまとまりに欠ける」
イザベルが露骨に不機嫌な顔をして「ム」っと言いながら頬を膨らますが、フラゴン分隊長がもう一度口を開き「が、幸い人材には恵まれている」と続けると、イザベルは満足そうな顔で、意気揚々と「よーし!!やってやるぜ!!」と叫ぶ。
その後も、フラゴン分隊長が調査兵団へ対して他兵団からの圧力がかけられていると話、それらを打ち消すには今回の新陣形の成功が必要になると力強く言う。
その言葉を聞き、イザベルは綺麗な敬礼をする。
その姿をエミリーは微笑む。手をかけてた子が純粋に彼女の中に浸透していたことがこんなにも嬉しい事なのかと。
フラゴン分隊長も「キチンとできるじゃないかと」褒め。自然と敬礼が出来たイザベル自身は驚いてるようだった。
その後フラゴン分隊長、エルヴィンが部屋を出て解散となる。
エミリーはイザベルに駆け寄り「よくできました」とほめる。それを嬉しそうにおとなしく頭を撫でらるイザベル。
「ごめんね、この後班の子達と約束があって。今日1日私は準備でやらなきゃいけないこと行かなきゃいけないとこあるから。明日の朝まで一緒にいれないの。」
申し訳なさそうな顔でイザベルにエミリーは謝る。
3人の顔を見比べ、大きく息を吸い目を伏せ息を吐く。左手でリヴァイの腕を取り、目の前にはイザベル、右手でファーランを腕つかむ。
2人を強く引き寄せ。2人の腕に自分の腕を絡めイザベルの頭に頬をのせ、イザベルを抱きしめる形になる「どうか、生きて帰ってきてね。」消え入りそうな震えた声でエミリー囁き、パッと手を放し。
小走りでその場を後にする。
ただでさえずっと死が隣り合わせの壁外調査だ、皆恐怖に耐え巨人に怯える。仲間が目の前で食い殺され精神を病んでしまう者もいる。
新兵の生存率は高くはない、最初の壁外調査で役3割が戦死するといわれている。エミリーはその3割に彼らが含まれないようにと祈ることしかできなかった。
リリアは今シガンシナ区住んでいる、居住権を手に入れても身元がしっかり分からない者を内地に踏み入れることは出来ないと咎められ、選択肢を与えられぬまま地下街から移り住むことになった。
地下に比べれば上等なくらいだとリリアはエミリーが心配しないよう地上に出られたことを感謝していた。
前日はリリアのところに行くようにしてる、何があるか分からない。もうママと呼ぶ年齢ではなくなり1人の大人としてリリアとはいい関係を保ってるがリリアはいつまでもエミリーを子供扱いすることにエミリーは少し困った顔をする。
「明日から壁外調査なの。当分会えなくなると思う」
「そうかい。」
エミリーは内地のお菓子と紅茶を持ってきて、2人でそれを口にしながら訓練の愚痴や新兵の話をしていると。
コンコンと扉がなる。
「誰か来るの予定でもあったの?」
「きっとイエーガー先生よ、少し膝が気になって。ご近所の先生に見ていただいたの」
「言ってくれればいいのに!」
「念の為に見てもらっただけ」そういって立ち上がり扉をあける。
言った通り優しそうな眼鏡をかけた男性が見え
エミリーはお礼を言いに行こうと立ち上がり話し込んでいるリリアの隣に立つと。中からは見えなかった男の子と女の子が一緒に付いてきていた。
男の子の方は私を見て目を輝かせ「調査兵団のエミリー・アメリア分隊長補佐だ!!」
予想外の出来事に男の子は興奮しながら大きな瞳が私を見上げる
エミリーは気を利かせ「立ち話もなんですので、どうぞ中へ」
「では、お言葉に甘えて。」