17
大浴場から出て肩にタオルをかけ髪が濡れたまのイザベルがエミリーの部屋で寄り道をしてお菓子を食べ、エミリーが作った果物絞り淹れた紅茶を飲みこの場所がまるで自分の部屋のように過ごす
「なんでエミリーだけ、1人部屋なんだ?」
「前の壁外調査で、居なくなっちゃったんだー」
「俺、エミリーと同じ部屋が良かったなー。」
「私はちょっと嫌かも」
冗談交じりで、話してると急にイサベルが手をとめ真剣な眼差しで
「俺エミリーと友達になれて良かった。」
言われ嬉しくなった、エミリーはクシャッと笑いながら
「私は妹が出来たみたいに思ってるよ」
イザベルの濡れた髪を気にせず、くしゃくしゃと頭を撫で回す。撫で回されながら
「明日の、訓練は立体機動なのか?」
「明日は、私丸1日エルヴィンと内地へ集会という名の資金集めに行かなきゃ行けなくて」
「帰ってくるのは遅くなるのか?」
「んー、たぶん?明日は3人お休みだからゆっくり休みなよ!」
イサベルがまた寄り道しないようにエミリーが部屋まで送り届け、帰り道食堂の前でファーランと鉢合わせになる。こんな時間にお腹空いたのか、若いなと感心しながら
「夜食?お勉強でもするの?」
今日のエミリーは機嫌がいい、イサベルのお陰でもある。自身の腕をファーランの腕へ押し付けながらファーランとの距離を縮める。
「いや、じっとしてられなくて」
目を合わさず頭を押えながら誤魔化す。
エミリーは背伸びをし「元気になるお呪い」と言いながらファーランの頭を撫で「散歩したらしっかり寝るんだよー」と言いその場を後にしようとしたら
「エミリーさん、地下街に住んでましたよね」
勢いよく振り返る「どうして、だれから、」ファーランの顔を見る。聞いてきた本人も驚いていたその表情にカマをかけられた事に気づき。
「どうしてそう思ったの?」
「足音です。」
「あぁ。」納得したかのように、困惑した顔で項垂れ窓際にもたれかかる。
「君は本当に優秀だねー」
壁にもたれかかり下を向いているので、髪が表情を隠すようになっておりまったく見えず、感情が読み取れない。傷つけたかもしれないと、怖くなったファーラン。手を伸ばしエミリーの元へ近づこうとする
「エミリーさんは…「愉しくおしゃべりか?」
ファーランが言いかけようとした時、低い声2人の耳に入る
突き当たりの角から声の主が現れた。
「リヴァイ…」気まづそうにファーランが名前を呼ぶ。
声をかけられたリヴァイ本人は「どういうつもりだ」と言わんばかりの表情で両手をズボンのポケットに入れながらファーランの元へ歩みを進める、その奥のエミリーが壁にもたれかかってるのを横目で見た後。また視線をファーランに戻す。
エミリーはリヴァイが来て、空気が変わったのがわかり表情を作り2人に話しかける。
「さっきイサベルにも言ったんだけど、私明日団長とエルヴィンと一緒に内地のお茶会に行くから、明日はお休みって言い損ねてたんだ。フラゴン分隊長にも許可はとってあるから。じゃ、私明日早いから寝るね」
足早にその場から逃げるように去っていくエミリー
食堂の前でファーランとリヴァイが2人気になる。
「その面、貸せ」
ファーランはどこに向かっているか分からず、何言わずリヴァイについて行く。外に出たかと思うと兵舎の隣にある倉庫内へ入る
入った瞬間ファーランの胸倉をつかみ「俺は忠告したよなぁ?ファーラン。アイツの過去をさぐって何になる?教えてくれよ、俺にはわからない。」ファーランはリヴァイの両手を掴みながら「なんで、そんなに怒ってるんだよ」と息苦しそうに抵抗する。
リヴァイは掴んでた手を離し、ファーランは床に倒れ込み咳き込む。
「俺は、なんで怒ってるんだ。」
ファーランは息を整え
「入団してすぐの日、エミリーと何かあったのか?」
「・・・」
「別に言いたくないなら、それでもいい。けど俺はお前にだけ言っておく」
「なんだ」
「エミリーが気になってる」
リヴァイはファーランの言葉に驚かなかった、わかりきっていた。
「あの女に入れ込んでどうする、敵ってことをわすれたかぁ?」
リヴァイは自分の想いを伏せ、ファーランに詰寄るがファーランも引き下がらない
「あいつとエミリーは別に関係ないだろ」
「あいつの部下だ」
「ハァ、だからどうした。依頼は書類とあいつの始末だろ。なんでエミリーの事になるとムキになるんだよ。」
座り込みながら、片足を抱え前髪をクシャッとさせながら俯く
リヴァイもファーランの隣に座り込む
「色ボケ野郎が」
「はいはい、そーですよ」