15


シアンとリリアの情報では、本当の王家は別にいると言っていた。レイス家の領地内で生活をしウォール・ローゼ内 家領地に住むレイス家が真の王だと聞きいた。真相なんて行ってみなきゃわからねえ




どうしてシアンがこの情報を持っていたのかなんて、この時は全く気にしてなかった。




あいつらには先祖だの、復讐だの思ってもない御託を並べ半ば無理矢理話させた。最初は興味、話を聞いてくうちに殺意に変わった。

昔から正義感とは無縁、自分が一番強いと思って生きてきた。

力が全て、真の王という力を持ってるやるに会ってみたくなった。





あってみて分かった。


この世に俺より強えやつがいるなんて、思いもしなかった。



これが巨人ってやつか。本当にいやがったとはそれも壁の中に。



「ウーリ そのまま捕まえておけ」


ロッド・レイスが銃をケニーへ銃を向けたまま。一部巨人化したウーリが、領地内に無断で入った侵入者を巨人の力で捕まえる。


「待て ロッド 撃つな。我々の存在を彼に漏らした者が議会関係者にいるようだ。それを明らかにしないといけない」

「ならば 力を使ってこの刺客を喋らせろ!」



お前らの言ってたことを疑ってたわけじゃねえ、けどよお、お前ら今までこんな奴らと戦ってきたのか?


「それが かなわないのだ。察するに彼はアッカーマン家の末裔ではなかろうか。であれば私に刃を向ける理由は彼自身にある。」


ウーリの目をみてプルプルと震えながらも、ナイフを投げウーリの首元へ確実に狙い放つがウーリは自身の腕を犠牲にし止める。


「ウーリ!」

「お前がやらないのなら 俺が殺す!」


ナイフを投げたケニーへロッドが銃口を向け続ける。



ッチ!クソッ…!


「お〜いクソ!許してくれよ!あんたがホンモンの王様なんだろ!話してくれよ 見逃してくれ!俺を逃がして もう一度チャンスをくれよ」


圧倒的な強者を前にした俺は笑えるほど脆かった。俺はここで死ぬのか、こいつらに殺されるのか。


なんせ文字通り握りつぶされるのは初めてだし、暴力が全てだった俺はその支えをうしなっちまったんだ。


今思えば一族の恨みなんて、大して感じてなかったのかもしれない。



唯一心残りは、気持ちを伝えれてればよかった。と今から死ぬという今、思い出すのはあいつの顔だった。

 

ウーリは掴んでいたケニーを下ろし、ロッドは慌てて銃を向けるが。ケニーは足に力が入らず腰を抜かしその場に座り込む。


ウーリは刺さった刃物を抜くことなく巨人と右腕が繋がった部分をちぎり離し地面に飛び降りる。ロッドはウーリの行動に理解できず、どういうつもりか聞き、殺すほかないと伝えるが、聞き入れず。


しゃがみこむケニーの元へ足を進る、怯えながらも隠し持っていた拳銃をウーリに構え発砲することなく警戒する。


ウーリはその場に跪いて頭を下へ向け話始める。


「我々がアッカーマン家一族にもたらした迫害の歴史を考えれば君の恨みはもっともだ…」







それほどの力を持っておきながら俺ごときに頭をさげ謝罪するこいつらの世界を見たくなったのかもしれねえ。

俺から出た言葉は”力になりたい”という今までの俺を否定するかのような情けねえ言葉だった。


ウーリは頷き、次の議会の席では情報をもらしていたらしい奴が消え。その席が俺の席になった。俺の新しい仕事はレイス家の犬。悪くねえ、こうしてアッカーマン家への迫害は終わった。


アッカーマン家はだ。


こいつらがシアンとリリアのことを探してるだなんてこれっぽっちも考えてなかった。いや、考えない様に自分を誤魔化していたのかもしれねえ。


このまま俺があいつらの名前を出して、状況を悪くするのを恐れてたのか、自分でもわからねえ。守るものなんて持ち合わせてねえ俺には、到底理解できる感情ではなかった。



シアンなんだろ。俺に妹の居場所を掴ませたのは、ずっと俺たち一族を探し敵がその情報を握りそうになるとかく乱するような行動をしてたんだろ。

ほんとお前は、食えねえよな。かわいくねえ。お前のいつも余裕そうな顔をいつか歪ませてみたかったんだがな。


妹に顔を見にいったのはいいが。


俺の妹は、見ないうちにかりっかりにやせ細りベッドで眠いっていた。その一室に小さなガキを残して。目が死んでこちらを見る、言葉を発することができるなら生きてる方か。


「お前は生きてる方か?」
「おいおい勘弁してくれよ分からねえのか?名前は?」



リヴァイ。ただのリヴァイ。という妹の忘れ形見みたいなガキ。


っは、そうだよなぁ。クシェル、名乗る価値もねえよな。


そういえばあいつらの姓もしらねえ。聞いたこともねえし気にもしなかった。


「俺はケニー ただのケニーだ。クシェルとは知り合いだった。よろしくな。」



















「探したわよ。アッカーマン」

「お前、憲兵か。」

ナイフを構え悠々とかわすこいつ、憲兵にもまだ優秀な犬がいたもんだ

「人の話を聞いてから、奇襲しなさいよ。短気?」

急所を狙ったはずだが、毎回空を斬る。反撃することなくよけ続けるこいつの意図がわからない。一度攻撃をやめ見下ろした

「俺に何か用か」

「もう終わり?楽しくなかった?」

ピクリとも笑わず、淡々と話すこの女。憲兵の犬だと思っていたが、利口じゃなさそうだ。何を言ってるのか全く意味がわからねえ、話しても結局無駄だ。

「私、シアン。あっちにいるのがリリア」

2人いたのかよ。

「何の用だ。」

睨んで牽制しようが全く意味がない。表情を変えることなく探した経緯と目的を話始め、話始めにはいいがこれっぽっちも興味ねえ、俺の興味は別だ。

「てめえ、なにもんだ。」

「いる?その質問。本当は、違うでしょ。」


全く会話が成り立たねえ、言いたいこともわからねえ。めんどくせえ奴らだとおもった、なのに成り行きでこいつらと一緒に居ることが増えた。世界は不思議なもんだ縁だのなんだの興味がねえふりして意外と気にしてたりする。


シアンとは特に関係性はかわらなかった、掴んだ情報を俺に流し始末するのも俺なわけで、別に命令されたからとかはないヒマつぶしだ。

そんな関係を続けていくうちに、こいつの事をしりたい欲が出てきたんだろなぁ。踏んじゃいけねえ地雷を踏んだかもしれねえ


「お前男居るだろ」


一瞬で空気が張り詰めピンと糸が張り詰めたような緊張感で息苦しさを感じながらシアンをみると、いつもより冷たい瞳で目の端で俺を捕えていた。

興味本位で聞いて後悔した。その場にいたリリアが殺気を放つ姉を止めシアンはフゥと息を吐いて俺たちの前から姿を消した。


「ケニーもお姉ちゃんのこと好きなの?」


”も”ってのはどういう意味だ。なんて聞く程女々しくねえ、呆れたように眉を下げて話すリリアに渇いた笑いを投げ誤魔化す。女という生き物はすぐにこれだ色恋、好きだよなぁ。俺にはそんなの荷物でしかねえな。















「なにこの子。」
「あなたの子?」

リヴァイを2人に会わせるつもりは無かったが、たまたま酒屋でみつかった。俺の隣に座って頬杖して店員を呼ぶシアン、リヴァイの隣に座り一心不乱にパンを貪る姿を微笑むリリア。


一番見つかりたくねえやつらに見つかったじゃねーか。


「こんにちは。」


リリアの奴が話しかけても、チラッと見るだけでパンを食べることを辞めねえ。酒を片手にガキの面倒か、俺にまともなことはしてやれねえ。


「名前は?」

「……リヴァイ。」


そう。と聞いておきながら興味なさげなシアン。


「私、リリア。彼女はシアンよろしくね。」


どういうよろしくだ?勘弁してくれ。変な情沸かれてもこまると思いつつもシアンをチラッと横目で見るが相変わらずの仏頂面。


「言いたいことがあるならいいなさいよ。」


店員が持ってきた飲み物を手に取り口につけた後視線をこちらにむけることなく言われギクリとしたが、平然を装った。


1つ余った飲み物を手に取りリヴァイの隣に座るシアン。一生懸命、咀嚼する彼の髪を撫で飲み物を目の前に置く。


「このおじさんに何かされたら、私の所においで。絞めてあげる。」


おいおい冗談じゃねえよ。なんで俺が面倒みるとおもってんだコイツ、いやそのつもりではあるけどよお。


手を止めシアンの方をみるリヴァイ。何かを言うわけでもなく2人は見つめ合い目をそらす気配がない。


こいつが初めて優しい顔をした気がした。


ふわっと笑う横顔に目を奪われた。


リヴァイの奴も驚いた表情で微かに口が動いてたが、何を言ってるかはわからなかった。


その日以降、シアンとリリアに会うことはなかったが。俺が野暮用でリヴァイの元を離れ戻ると、部屋の中に目新しいものが増えていた。リヴァイに聞いても何も言わねえ。俺よりえらくシアンと仲良くなったもんだな。






ある日から全くあいつらの出入りがピタッと止んだ、憲兵に入ったことをどこかで聞いたのだろうな、あいつはそういうやつだ。


でも、逃げると追いかけたくなるのが動物の本能だ。
















「探したぜえ、リリア。」

地下を探し回った。やっとだやっと見つけた。まさかお前が娼婦館の女将とはな。たしかに俺は好んで行かねえ、よく考えたじゃねえか。シアンの案か?

リリアの隣に手をつないだガキを目に入った。


「…似てるでしょ。」


振り返って、来ることをわかっていたような様子で。隣のガキをみつめる。


「ああ…。だが」

「目だけ違うって?」


俺の知ってる女は、もっと冷たくもっと鋭利で全く笑わねえ奴だ。


リリアはそのガキを愛おしそうに抱きしめ「この目がいいんじゃない」とほざく。


「名前は」

「エミリー。」


ほんとに似てやがる。しゃがんで目を合わせれば目は違ったが同じ冷たさを感じた。そのガキは俺の帽子のつばをあげしっかり目を合わせ、ひょいっと帽子を手に取り自分の頭にかぶせ


「似合う?」


表情を変えることなくいう目の前のガキに、嫌でもあいつと重なった。


「ああ。」


立ち上がり帽子をポンと叩き、リリアを見て。あいつはどこだ。と聞くと困ったように眉をさげ視線をガキに向けた。

帽子を取り胸の前に抱えるエミリーから帽子を受け取り髪をかき上げかぶりなおして、再度リリアを見ると。聞くなというような表情で眉を上げていた。


地下で生きてくのは簡単じゃねえもんな。よぉく知ってるがあのシアンだぞ、そんな簡単に逝くわけねえだろ。そんなに弱くねえ、俺ですら傷一つ付けれなかった。



リリアから聞くまで、この娼館に通い詰めた。

エミリーの英才教育だ。というと目を見開いてリリアにぶん殴られそうになったが、かわすと更にヒステリックを起こしてめんどくせえ。


エミリーには色々教えた、まあこれが覚えの早い事でこいつ実はアッカーマンの血流れてんじゃねえか?っと思うほどだ


「ケニーって暇なの?」


いつも酒を飲んでは、こいつの前で寝ころんでナイフの扱い方や身の振り方を教えてたがまさか暇つぶしに思われてるとはな、まあ暇つぶしなのはかわりがねえが…。


「エミリー、生きてるか。」


酒を浴びるように飲んで出てきた言葉がこれだ。何言ってるか俺にもわからねえこんなガキになんの確認だ。


「ケニー。」

「…なんだ。」

「大丈夫だよ。」


何言ってんだこいつは、こんなガキに慰められてんのか俺は。なんでこんなガキに情なんか湧いてんのかわからねえが心当たりはある。あーこの年で気付きたくねえくそしょうもねえ。


このガキがある日を境に調査兵団の名前を出し始めた、まあなんとなくわかってたことだが、大事にされてる分その辺の地下街の奴らに手だされるよりかは事情のくそ共のほうがまだ、まだマシかもしれねえが。よりによって調査兵団かよ。














それから数年後礼拝堂で隣の居た中央憲兵の奴と話してたときだ、ウーリが東洋人2人の姉妹を探し続けているという事実を知った。


ひゅっと小さく息を吸った。


その憲兵に、お前は何か知ってるのかと聞かれたが。俺も知らないと伝えると、それ以上は聞いてこなかった。おれはなぜその東洋人を探してるのか聞いた。


「迎え入れたいと言っていた。彼女達の一族は身も心も全て我々と共にあるべきだった、それはこの国を平和にすると仰っていた。」


それはまるで、呪いの言葉のように聞こえた。

あいつらはこの王の為に生まれ仕え奉仕して来たのだと、そうあるべきなのだと。

アッカーマン家の迫害は力を恐れていたからなのは分かった、だがあいつらは…なぜ迫害をうけた?容姿か、東洋人だからという人種的な物か?



ウーリと海辺で話してるときに、もう自分は長くないとはじめたあと自分の力の事を話し始めた後。思い詰めた様子で最後に最後に友人として話をしようかといって話始めた。


「シアンという子を知っているかケニー。」


ロープで首を絞められているような感覚になってひどく動揺した。


水辺の方を見続け、淡々と話し始めた。



「彼女と一度だけ、いや私が何度も会いに行った事があってね、君と出会う前だ。彼女の先祖が王家の側近だという事はすぐに分かった。王家と彼女の一族は磁石みたいなもので、すこし厄介だ。惹かれるのはいつも我々側だ


彼女が視界に入った時に体に稲妻が走るほどの衝撃で波が押し寄せ決壊した川の様に血が沸いたみたいだった。彼女は表情を変えず冷たい表情で静かだったが。


巨人の能力を所有する者と王家の血を引く者は、彼女達の血族と切っても切れない契りみたいなものがあったみたいでね。

血という者は恐ろしいね、こちらの意思とは別に刻まれているんだ。

彼女達の記憶の改ざんはもちろんできない。

元々彼女達の一族は王家の妾だ。側近というのは建前で王家の子は産まない、いや産めないの正答か。

子孫を残す際の相手は王家が決められた相手だった、子が生まれれば父親の存在は消される。

そして必ず生まれるのは女の子だ、そしてまた繰り返される。

その行為を知ったアッカーマン一族は彼女の一族を守る為牙を剥いた。

彼女達の一族とアッカーマン家が惹かれ合うのは、彼女達の一族はより強い血を求め自分達を解放してくれという血の呪いみたいなものだろう。

それに気づいた我々の先祖はアッカーマン家抹殺を企てていた。彼女達の末裔と引き合わせない様に、自分たちの側に置いておくために。我々王の精神の平和が壁の中の平和だと思っていたが。

それはあまりにも身勝手な性だった。」


言葉が出なかった。


過去にロッドと共に憲兵の1人を始末をしたことがあった。なんでこんな奴の為におれがいちいちと思ったが、ウーリにポロっとこぼすと誰よりも動揺していた。そのあと目を伏せどこか悔いてるように見えた。


そうか、あいつがシアンのガキの父親だったか。

あの頃はどうでもよかったが、あいつが最後に俺を見てたのには意味があったんだな。



「…なんで、それを俺に話した。」

「なぜだろうか、友人とはこういう話もするものだろう」


シアンに会いたいのか?こいつはなんで俺にその話をしたんだ。俺がシアンに心があると言いてえのか、それともウーリ自身がただに恋をした話か。どちらにせよあの女はやっぱり…


「っは、てめえも相当拗らせてるな。」

「彼女は笑っていたか?」


あいつの笑っていた顔なんざ見たことがねえ。なにか見透かすような黒い眼がまるで睨んでるようなかわいくねえ顔だ。


「知らねえよ。」

「彼女達に会ったら、伝えてくれないか。」

「おいおい遺言はそれか?勘弁してくれ」


―君たちが笑える世界を作れなくてすまなかった―



ウーリの言った通り、能力は引き継がれロッドの娘は奴を同じ目をしていた。口を開けば人々の愛だの平和がどうとかほざいていた、力があればそんな戯言も言えるのか。

その力を手にさえすれば俺もお前の見ていた景色をみれるのか…。

そうすれば俺は…。




まあその夢に近づくために俺は対人立体起動部隊という組織を作った、調査兵団に居るあいつらの会うのが楽しみだ…


なあシアン。


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