▼花菜と中ちゃん(0)


花菜は一般家庭の出身だけど、家族とは不仲です。不仲ってか、ちょっと色々あって戸籍は祖父の養子になってる。
ああいう性格になったのも家庭環境の影響なんだろうなーなんて。
おじいさんは厳しくて、ふたりは祖父と孫というより、教師と生徒のような距離感だったと思う。
おじいさんはとても古い考え方の人だった。
花菜はずっと逃げ出したくて、逃げられればどこでも良くて、半分くらいおじいさんや家族への当て付け、というか反抗みたいなので軍学に飛び込んできた子。
その時のかなり軽率な思いつきだったから、いざ軍学生活が始まるとすごく後悔した。なんてところに来てしまったんだろうって、毎日緊張の連続ですごく怖いのに後に引けなくなって、それでどんどん心閉ざして。
人付き合いも苦手だったから誰かに弱音吐いたりも出来ずに初めはずっと一人で泣いてたんだろうなーって思う。

花菜が中ちゃんと出会ったのは泣いてる時だといい。
めそめそと泣いてる花菜を他の学生は素通りしてくのに、立ち止まって駆け寄って「どうしたの?どっか痛いの?」って話しかける中ちゃん。

軍学来たばかりの頃は、頼れる人がいない花菜にとって、他人の気遣いはずっと欲しかったものだったと思う。
でも素直に誰かに助けを求められるような殊勝な子でも、ぐっと辛抱して耐え忍び続けられるような精神力の強い子でも、一人で乗り越えられるようなバイタリティのある子でもないから、めそめそと泣くしかなくて。

やっぱり戦争してるって、花菜にとって異常な事態でしかないのかなって感じます。
なんだろうなー花菜の感覚は限りなく庶民的というか。あまりにも常識的というか。自分とは関係ないことだって、どこかで思い込んでるのもあるけれども。
痛いことや辛いことはお互いしたくないものだし、戦う理由も自身にはないし、国とか矜持とかそんなもの守るために死にたくないし、つまるところ戦わないことが花菜にとっての普通の選択なのです。
でも、その、どうしようもなく凡人な花菜の感覚では軍学の生活は飲み込めないことばかりで、色んな事に流されて宙ぶらりん状態のままただただ怖い経験だけを積み重ねていき、日時は経過していく…みたいな。

でもそのなかで、一般家庭で育った…普通の感性というか、普通の優しさ?初々しさっていうか。中ちゃんのそういうところに救われてると思うのよな。
学戦のひとたち特殊な人多いから…ずっと気を張って肩に力入れて過ごしてけど、始めて力を抜いていいと思えた友達が中ちゃん。
まあ、中ちゃんの口から王子の話しか出ないのは死ぬほどつまらないんだけど。中ちゃんだから聞いてあげるだけであって(笑)
本当はもっとなんの変哲もない話聞いてたいんです。素直に言えないけど。
あと恋バナ聞いてるとたまに旭くんが頭を過ぎって変な顔になる…。




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