結局すべての証明が不可能ならば(マロンと冬ルン)


私がこうなったのは偶然だったんだぜとマロンは言った。あまりの唐突さに呆れ、はあ…とため息をつく。この女性はなんて勝手なんだろうか。マロンは相変わらずの笑みを浮かべたまま話を続けた。
「短い話だからちゃんと聞けってルンたん。私はな、あんまり戦いとか好きな方じゃなかったんだよ。でもな、偶然こうなっちゃったんだ。だからしょうがないだろ?」
「…お前はいつも…短い話すぎるのです。どうせ話すならもっと説明するべきだと私は思いますけれど」
「つまりだよ、私はほんとに、偶然生まれたんだ」

マロンの話はわけがわからない。これはずっとで、いまさら指摘することでもなかった。マロンは燃えるような赤い髪を揺らすとまた、ニタリと笑った。

「出産を、みたんだ。うちは医者だからな。それからだよ…私が生まれたのは。あんなに苦労して人間って生まれるのになんであんなに簡単に死んじまうのかね…わけわかんなくて、だからこうなったんだよ私は」

マロンの思想はわけがわからない。ずっとだから気にしていない。きっと彼女の魂は私の見えないところにあるからだろう。物騒な発想ですね、といい残して私はマロンを置いて歩きだす。気になって振り返ってみると、マロンはもういなくなっていた。マロンは本当にわけがわからない。それが当たり前だから、誰も気にすることはない。





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