グリーングリーングリーン(エスターテととある男)


私の人生の最後は緑色だった。

私は真っ赤な血の腹部から垂れ流し、錆びた鉄の匂いのする部屋でうずくまっていた。タン、と音を立て彼女は私の前に立ち上がる。人生の最後がこんな弱弱しい少女によって迎えられるとは夢にも思わなかった。私の血はどんどん広がって少女の靴の下にもぐりこむ。上から何かが降ってきた…彼女は何故か泣いていた。なんで泣くんだ。泣きたいのはこっちだ、と言おうと口を開いたら傷口にもう一発弾丸を送り込まれた。彼女はやはり泣いていた。

「ごめんなさい…あ、あの…私…」

彼女は震える声で言った。視界は霞んで、もう彼女の顔はよくみえない。服の色なのか、鮮やかな緑色だけが私の脳にやきついた。

「お姉ちゃんが…言ってました」

緑はとっても優しい色です

少女は泣きながら銃口を向けた。金属音が錆びた鉄の匂いのする部屋に響き、彼女の涙が私のひろがった血の中に落ちる。
私の人生の最後は鮮やかな、優しいとは程遠い緑色だった。





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