ぼくらは甘い蜜をすすって(幼少オデン) (11/19 20:58)


「で、このドーナツをどっちが食べるか…だが」
「えー!俺食べたい!」
「バーカ!俺は朝から朝ご飯しか食べてないんだよ!馬鹿オーバ!」
「食べてんじゃん!」

こんなふうにかれこれ10分間言い争っているけれどなかなかデンジは譲らない。このドーナツは俺のかーちゃんが買ってきたのに!

「俺のほうが背が高いから俺が食べる!」
「なっ…、じゃあ俺の身長のためにそれよこせ!」
「やーだー!デンジに身長抜かされたくないし!」
「あーもう!普通さー客に渡すだろー!」

バチバチと火花が散り、ドーナツののった皿を囲むように俺たちは身構えた。一瞬、沈黙。そして、一斉にドーナツへ手を伸ばす。


結果、俺の勝利。デンジは勢い余って砂糖まみれの皿に顔面をぶつけた。顔には白い粒がベタベタと張りついている。それとは対照的に打ちつけたせいか肌は赤く腫れ、痛そうだった。

「…最悪」
「へへ、今日は俺の勝ちだな…!」

デンジは顔についた砂糖を指ですくってニャルマーみたいにペロペロとなめた。俺はニヤリと笑いドーナツをかじる。俺の口の中にもおそらくデンジの舐めた粒と同じであろう味が広がった。それを思うとなんだか急に恥ずかしくなって、俺は噛み砕いたドーナツを急いで飲み込んだ。







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