ジオラマみたいな世界(アーカミ) (11/06 00:54)


「そうだね、動かないで」
「分かった」

カミツレちゃんはとても綺麗だ。内面的にも外見的にも。僕は基本的に自分のセンスに…こう…ビビビッとくるものしか描かないんだけど…カミツレちゃんはどこか違った。本当は僕、人物画なんて描かないんだけどね。カミツレちゃんを見たとき、「描きたい」じゃなくて「描かなきゃ」と思った。

「…もう少し笑って?」
「注文が多いのね…あなたってそんなに慎重な人だったかしら」
「全然。僕は自然体が好きだよ」
「言ってることとやってることが違うわよ」
「ハハハ、言えてる」

カミツレちゃんを見つめながら筆を動かす僕と、少し微笑んで僕を見つめるカミツレちゃん。

綺麗なカミツレちゃんと、その子の視線を独り占めで絵を描く僕。


なんだ。
僕の描きたかったのは、これか。







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