熟れゆく青はいつしか赤く(チェレ主♀)
(01/05 23:36)
真っ白なドレスに綺麗なチャペル。今日はチェレンの親戚のお姉さんの結婚式だった。
私も似合わないふわふわのお洋服を着て、チェレンもネクタイなんてしめちゃって、トウヤからはすごく笑われてた。ベルは天使みたいにかわいくてちょっぴり羨ましいなんて思った私は誰よりも天使に遠いのだろう。
「トウコも、ドレスとか興味あったりするの?」
「もちろん、…チェレン馬鹿にしてる?」
「まさか」
「ま、どうせ私にはあのドレスは似合わないし」
きっとベルにはすごく似合うんだろう。私はベルのこと大好きだからそれくらいわかる。ベルは天使で、お姫様だもの。
辺りが騒つきだす。どうやらブーケトスが始まるらしい。二度目の花嫁の登場にますます会場は盛り上がり、気をよくした花嫁はもったいぶってなかなかブーケを投げない。
前の方にベルが立っていた。こういうのはやっぱり、ベルにとらせてあげたほうがいいような気がして私は一歩後ろに下がった。
「前、いかないの?」
「チェレンが行けばいいじゃん」
「なんで僕が行かなくちゃいけないんだよ」
「冗談だって」
辺りの騒つきがいっそう激しくなるけれど、なぜか私の耳に入るのはチェレンの声だけだった。
「あのさ、トウコ。ベルはドレスすごく似合ってる」
「…うん、分かってる」
何を言われるかと思えば。花嫁の弾む声が聞こえる。私は履き慣れないハイヒールを鳴らし、チェレンの声に耳を傾ける。
「でも、僕はさ。君のドレス姿の方が好きかな」
「…えっ、」
ベルが私の名前を呼ぶ声が聞こえた。その瞬間、突然辺りの声が鮮明になる。ベルやトウヤが私の周りに集まってくるのと同時にチェレンの姿はどこかに消えた。
ただ、あの時のチェレンも私も顔は真っ赤で、いつのまにか私の手にあったブーケの薔薇は同じくらい真っ赤だった。