【キャラ化学】ノア×紫
さらさら、と風に揺られる笹の葉擦れが水の流れを想起させる。
色とりどりの飾り付けが中々愛らしい。
水鏡で星を映す趣向も兼ねてか、学園のプールサイドで有志による七夕の祭りは行われていた。
実行委員の意を汲んだかのように空は快晴で深い藍色を湛える中に星が瞬いており、水面にも美しい彩を作り出して盛況な祭りに風流を添えていた。
「これ、どうぞ」
一人一枚短冊を渡される。願いを書いて笹に吊すらしい。
隣に居る紫が短冊に筆を走らせる。
「ずっと一緒にいられますように…っと。」
「それを彼らの前で請うのは酷ではないか?」
彼らは年に一度しか会えないとされているのに。
「あ、そっか。」
はたと笹に短冊を結びつける手を止めた紫が面白い。わざとではないのか。
「…それが紫の望みならば、きき届けられるか試してみるがよかろう。そのまま下げておけ」
本来、手習いや技芸の上達を願うものだが、他の短冊をちらと見る限り手遅れだ。
何を願われようとも最早構うまい。
「ノア君は、何をお願いするの?」
「……。」
手元に視線を落とす。
握られる短冊には何も書かれていない。
「我の願い…」
些細な望みなど天突く山を築けるほどにある。
だがそれは己で叶えるもの。
ならば短慮であるが…。
紫から筆を受け取り、文字を記して結わえ付ける。
紫がそれを読み上げた。
「何々、……紫の願いが聞き入れられるよう…?」
「笑うな、書いたままの意味だ。」
「違う、嬉しくて笑ってるんだ」
どっちも同じだ。
「星の加護を得ずとも我は此処にいるが。ずっと、であるならば星の力も借りねばな」
この先、何があるかは分からないのだから。
「叶うと良いな」
「…うん」
はにかむ表情は薄闇の中でもよく見える。
その笑顔が自らのそばにあることを祈って微笑を返した。
12月2日
*時系列曖昧*七夕イベント捏造。
お題元↓
『ずっと相手と一緒にいたい、と短冊にお願いする』『ノア紫』を描きor書きましょう。 http://shindanmaker.com/62729