【キャラ化学】ノアとカルラ?


「ノアー、指怪我した。消毒して。」

と、血が滲む指先を突きつける。
ノアールは視線だけでそれを一瞬見て、呆れた声で 「大した傷ではないだろう…」と答えた。

「ノアに消毒してもらうと治るの早いし。お願い。」

そう強請れば、ため息をつかれる。

「…仕方のない奴だ。」

ノアールは己に向けて突き出された手をとり、緩く引き寄せる。
血の流れる指先を口元に近づけると、パクリと口に含んだ。

「えっ」

驚いたのか、びくりと引きかけた手の動きを瞳だけで制し、舌で傷口をなぞった。
熱と柔らかさと痺れるような痛み。

「…!も、もういい、離して、」

戸惑うような声にノアールは唇に薄く笑みをはき、仕上げとばかりに軽く吸ってから解放した。
直ぐに引っ込められた手と、非難がましい表情をノアールはせせら笑う。

「何すんのよっ」

じんじんとする指先。ノアを睨みつける。
平然とした風に「何、とは。要望通りに消毒だ」あっさり言い返されて言葉を失った。

「…して、礼の一つも無いのか?」

確かに消毒して、とは言ったけれども。

「こんな方法じゃなくても良いでしょ」

すると、「くくく、」まだ動揺しているのを見抜いているのか、笑った。からかわれている。かあ、と頬に血が上った。

「もういい、ノアの馬鹿、二度と頼まないっ」
「そうか」

走り去っていく姿を見送る。

完全に姿が見えなくなってから、ぽつりと呟いた。


「…これでも厚意を示しているのだがな。」

そうで無ければ、他人の傷になど見向きもしないのだから。

「少し、意地が悪かったか。」

ひとりごちたあと、唇に付着した血を舐め取り、再び笑みを浮かべたのだった。





10月21日


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