シリーズ | ナノ 気になってるクラスメイトから初めてかかってきた電話。正月もそろそろ終わりで、明日からまた部活も始まる、そんな日だった。教室で聞く声とは違う声に少し緊張するけど、内容は別に緊張するような内容では全くなくて。


『高尾ー、初夢見た?』
「ん?見てないけど、みょうじは見たの?」
『うん。高尾と、』

オレと?とかワクワクしてみたけど、

『クラスの藤田くんと奈須ちゃんと羽子板する夢だった』

なんだ、オレだけじゃないのか。

「どういう状況だよ?」
『さぁ?でもさぁ、すごくない?』
「なにが?」
『一富士二鷹三茄子じゃん』
「あー、フジ田と、タカ尾と、ナスさんね」
『ね?今年いいことあるかなー?』
「一富士二鷹三茄子って、富士山と鳥の鷹と野菜のナスのことじゃねーの?」
『まぁまぁ細かいこと気にすんなって』
「しかもさぁ、その夢見たのいつ?」
『え?昨日』
「昨日ってことは、2日から3日の夢だろ?」
『うん。初夢って2日の夢でしょ?』
「そうだけど、1日から2日に見た夢のことだって」

まぁこれは緑間からの受け売りだけどな。それこそ、昨日わざわざ電話してきて、俺の初夢は一富士二鷹三茄子全部出たのだよ、人事を尽くしたからなのだよ、お前が初夢見なかったのはラッキーアイテムを持っていなかったからなのだよ、とか勝手に語って勝手に終わっていた。つかさ、初夢見たらオレに報告するルールとかが、オレの知らないところで出来てたりするの?


『えー?そういう意味かー!』
「だからさー、みょうじ、変なタイミングで初夢とか言うなぁって」
『いやー、ごめんごめん。超すごい夢だし、高尾出てきたから報告したかったんだよー。でも、初夢じゃなきゃただの夢かぁ…』

みょうじはオレが、期待していた反応じゃなくてガッカリしているけど、オレは、

「オレはみょうじの夢に出てきて嬉しかったけどね」
『え?』
「じゃまたな!」
『ちょ、え、ま、言い逃げすん』


みょうじが言い終わる前に電話を切った。これでみょうじがオレをもっと意識してくれれば、今年はスッゲー良いスタートダッシュ切れたことになるのにな。



高尾和成と1月3日

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