シリーズ | ナノ 「緑間ん家のそば美味しいね」
「なぜお前がいるのだよ」


緑間が驚くのも無理はない。クラスメイトが突然、自分ん家のリビングでそば食べてたら、大抵の人が驚くだろう。てか、緑間の部屋着、絶対中学のジャージだ。クラスメイトの私的な一面は面白い。


「いやー、さっきスーパーで緑間ん家のお母さんに会ってさー。うちは毎年年越しそばがカップ麺だっていったら、誘われちゃった」
「お前は社交辞令もわからないのか」
「社交辞令じゃないよ。ねー、お母さん!」

キッチンにいる緑間のお母さんに同意を求めるとそうよーなんて返してくれるが、緑間は
「お前の母親じゃないだろう」とか言って冷たい。

そのまま、リビングのテーブルのあたしの向かいに座って、お母さんからそばを受け取って食べ始める緑間。緑間ってはしの持ち方キレイだなぁ。


「てかさ、緑間ってそば嫌いじゃなかった?」
「嫌いなわけではない。苦手なだけだ」
「えー、それでもさぁ、無理してそばじゃなくてもいいじゃん。うどんにしたら?年越しうどん」
「馬鹿め。年越しにそばを食べることが人事を尽くすと言う事なのだよ」
「あー、例のおまじないね」
「まじないではないのだよ!」
「ほら早く食べないと伸びちゃうよ」


緑間がツッコミに一生懸命で、そばが伸びそうだったから、せっかく注意してあげたのに溜め息をついてこっちを見る。


「ん?どした?」
「…お前といると調子が狂うのだよ」
「えへへ」
「褒めているわけではないのだよ!」


ホント、緑間ってツンデレだよなぁ。面白い。




そばを食べ終わって、デザートまでいただいて、流石に年越すまでお邪魔するのはあれだから、帰ることにした。なんだかんだ、わざわざ玄関まで見送りに来てくれる緑間。


「ごちそうさまでした!また来ます!」
「来るな」
「またまたー、そんなこと言って。ちょっとは楽しかったでしょ」
「……」
「え?本気で嫌だった?ごめん?」
「本気で嫌なら家に来た瞬間に追い出している」
「だよねー、…え?」
「…お前といると調子が狂うが、楽しくないわけではない」
「緑間が…デレた…」
「デレてなどいない!」
「きゃー!高尾に報告だーっ!」
「やめろ!」


来年もよろしくね!


緑間真太郎と12月31日

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