先輩と | ナノ

それから、秀徳高校を受験して、無事合格。入学式も無事終えた。クラスにあんまり同じ中学の子がいなくて心細かったけど、隣の席の男子がやたらコミュ力高くてすぐ友達になった。


「なぁなぁ、」
「なんだよ高尾ー」
「みょうじってなんで秀徳に来たの?」
「うわ、いきなりなに?」
「いやー、新入生同士の会話と言えばこれが定番かなーと」
「まぁ、そうだけども。高尾は?」
「やっぱバスケ部強えーからっしょ」
「あー、高尾バスケ部だっけ」
「おう。で、みょうじは?」
「えー、そんな大それた理由じゃないんだけど…」
「うんうん、」
「高校見学のときにイケメンがいたからかなー?」
「ぶふぁっ!まじ?」
「まじまじ。つか、笑い過ぎ」
「いや、さすがだよみょうじさん。で?」
「で?…えー、そのイケメンがさー、あたしじゃ無理だと思う数学の問題スラスラ解いててかっこいいなーって。あ、見た目だけじゃなくて。秀徳入ったらこんな風にかっこよくなれるかなー、と」
「へー、いいじゃんいいじゃん!」
「そんな感じです」
「その先輩の名前とか知らないの?」
「知らないよー。会ったのもその時だけだし。別に仲良くなりたいとかじゃないし」
「えー、もったいねー。バスケ部の先輩とかかな?ね、ね、どんな人?」
「うーんと、そん時2年生だったから、今3年でー、身長高くてー、多分190?とかそんくらい?で、髪色明るくてー、茶髪ってか、もっと、うーん、キャラメルミルクティーみたいな色でー、イケメン」
「いや、イケメンはわかったから。具体的に!」
「具体的?意外と可愛い感じの顔。あ、真ん中分けだった。前髪」
「…うーん、宮地さんじゃね?」
「みやじさん?」
「バスケ部でそれっぽいのは宮地さんだけかなー」
「へー、」
「あ、俺写メある!」
「なんであるの?!」
「春休みに、いろいろあって」
「なにがあったんだよ…」
「あ、これこれ。この人?」

高尾が差し出したケータイの画面に息を飲む。

「うわ…、この人、です」
「まじか!宮地清志って言うんだよ」
「みやじきよし…」
「あ、字はこういう字」

適当なプリントの端に高尾が書いた4文字を、凝視した。

「宮地清志さんかー」
「すぐ切れて超怖ぇんだよ」
「高尾まじ部活でなにしてんの?」

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