流星群 | ナノ




「……はぁ?宮地がいなくなったの、お前と帰ってたからだったのかよ。……え?土手連れてかれた?どこだよ土手って。……あー、駅と反対なのか、じゃあ知ってる奴少ねぇな。……つか、なんなんだよ、お前ら。仲悪いと思ってたわ。……いや、知らねーよ!本人に聞けよ!……でもさぁ、宮地って練習馬鹿みてーなとこあるから、宮地が自主練日に1番最初に帰るってのが前代未聞すぎて、あいつが帰った後、明日雪でも降るんじゃねーかと噂してたんだよ。しかも、久しぶりに先輩来てくれてたのにさー。宮地が結構懐いてた先輩でさ。…あ、そうそう、パシられた直後に帰ったから、パシられたのがよっぽど嫌だったのかって先輩が心配してたくらいだったっつー話。……あ、俺、今思ったけど。……いや、宮地が怖いからお前には言わねー。……自分で考えろよ。……えー、…いやぁ、だからさ、…宮地ってお前のこと…。……やっぱなんでもねー。気になるなら、本人にきけって。……まぁあんま深く考えんなよ。多分」


3年になって、やっぱり腐れ縁だったのか、同じクラスになった宮地は、あの日なんて無かったかのようにいつもどおりだった。少し肩すかしくらったみたいだったけど、あたしもいつもどおりにしていた。

でも、どーにも気になって、あの日の事を木村に話してみた。木村は男のくせにベラベラ喋る。それで、なんだか、そわっとするような話になりかけたけど、結局はっきりとした結論は出なくて。木村の野郎、他人事だからって、適当言いやがって。この、八百屋!新鮮野菜!

それで周りは頼りにならないと思って、どうせ宮地だし、もうどう思われてもいいやって気持ちになって、本人に聞こうかとも思ったけど、なんか直接きいてもはぐらかされそうな気がして。なんだかモヤモヤして、最近は宮地のことばかり考えている。このままじゃ、気持ち悪いことになりそうだ。うん、そうだ。気になってるのは、宮地が謎な行動するからで。別に、その、あの、ってあたしは何の言い訳してるんだ。


「おい、」
「ひゃいっ!」
「何ビビってんだよ、アホ、まぬけづら」
「宮地が急に声かけるから…。てか、そこまで言う必要ないでしょ?」
「本当のことだから仕方ねーだろ」
「はーっ……で、何?」
「お前、木村に俺のこと相談したんだってな」
「なっ、木村ぁ…!」
「その調子でどんどん悩めよ」
「はぁ?どーゆーこと?」
「さあな」


何?優しさかと思ってたけど、嫌がらせかなんかなの?


「そんな事言われても、もう宮地のことで頭がいっぱいだから、これ以上悩みようがないよ」


珍しくびっくりした表情をする宮地を見て、やばい、と思った。思わず変なこと言っちゃった!でも、次の瞬間には驚いた顔をしていた宮地が本当に楽しそうに笑い出していて。


「な、何?」
「いやぁ、なんでもねー」
「嘘、笑ってるじゃん」
「お前、顔真っ赤」
「知ってる!」


熱を持つ頬に手を当てながら宮地を睨んだ。
あー、もー、やだなぁ。宮地はあたしのことわかりやすいって言うけど、あたしは宮地のことわからない。一方的に見透かされてるの、本当ムカつくなぁ。なんだよ、笑うなよ!


「宮地のバカ!」
「んだよ、バカ。轢くぞ」


そして、今までのように日常を消化しながらも、少しずつ変わっていったあたしの本当の気持ちに、少しずつ見せていた宮地の本当の気持ちに気付くのは、もう少しだけ先の話。
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