流星群 | ナノ
3
「は?みょうじ?!」
「宮地?!なんでここに?」
現れたのは宮地だった。練習中に抜け出したのか、Tシャツに短パン、肩にタオルをかけ、汗だくだった。
「3年の先輩にパシられて忘れ物取りに…」
「部活は?」
「今日は自主練なんだよ」
「あぁ…」
「それより、なんでみょうじが3年のクラスにいんだよ?」
「うーん…ノリ?」
「はぁ?」
そんな訝しげに見られても…自分でもよくわかんないし。宮地は教室の後ろにあるロッカーの端から順番を数えて名前を確認して、ここか、と呟きながら一つの扉を開けた。中からバサバサっと教科書やプリント類が雪崩れる。
「うわー」
「…みょうじ、お前ひまだろ?」
「手伝え、と?」
「わかってんなら手伝え」
「上からだなぁ」
そういいながら宮地の脇にしゃがみ、崩れた紙の山から教科書を引き抜いてそろえていく。宮地はプリントの向きを適当に合わせていた。
「もしかして今日ので?」
「え?」
手を止めたら「止めんなよ」と怒られた。宮地はプリントから目を反らさず黙々と重ねていく。ちらりと一瞬だけこっちを見て、言葉を続けた。
「今日ので、ひとりになりたかったんかなぁと思ったんだよ」
「…あー」
そっか。そうだったのか。だからあたしは人気のない3年の教室にわざわざ来たのか。まさか宮地に教えてもらうとは。
「…邪魔して悪かったな」
「いや、そんなことないけど…」
なんだかんだ、優しいから、ズルイ。宮地のことキライにはなれない。