流星群 | ナノ




掃除が終わって、せっかく最後の春休みだと言うのに、気分は晴れなかった。寄り道したい気分だ。しかし、貧乏学生のあたしはお金をパーッと使う気にもなれない。とりあえず友達と春休みは遊ぼうなんて約束して別れて、人気のない校内をうろうろした。シンと静まる教室棟は授業中のようだ。歴史ある秀徳高校の廊下は歩いているとたまにミシリと軋む。ふと思い立って、3年生の教室に向かった。来年度、つまり4月から使うであろう教室を見に行きたくなったのだ。


3年生の教室は、教室の大きさも机も黒板や教卓の配置も2年と同じはずなのに、なぜか新鮮に感じた。適当な窓際の席に座ってみる。体育館から部活の声が聞こえる。ボールの弾む音、靴と床が擦れる高い音、バスケ部か。そーいえば宮地ってバスケ部だっけ。気まずいまま新学期か…、てか、また同じクラスになるかな?


宮地とは腐れ縁的な感じで1年も2年も同じクラスだった。1年の1学期、数学の小テスト採点のときに、隣の席だった宮地の点数を覗いて、点数が1点上だったので思わず「勝った」と、呟いたのが始まりだった。負けず嫌いな宮地が聞き流すわけもなく、それからテストのたびにどちらともなく競うようになった。勉強面で実力が拮抗していたこともあり、色々と勉強以外の場面でも勝負や賭けをしていたことから周りからみたら仲良しらしいが、始まりが始まりなだけに、あたしたちの関係はよく言えばライバル、はっきり言って犬猿の仲。まぁそうは言っても、お互いにお互いのことをよく知るなかではあるかもしれない。


そんな宮地にあんな場面見られて、しかも気まずいとか…なんなんだろう。


溜め息とともに机に伏してみたが、足音が近づいて来るのが聞こえて、慌てて立ち上がる。3年生かも。


しかし、現れたのは3年ではなく、ある意味会いたくなかった相手だった。

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