流星群 | ナノ
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漫画じゃよくある展開だ。
でも、まさか自分が体験するなんて思っても見なかった。
放課後、掃除当番で裏庭を掃除していた。授業は今日で最後。掃除が終われば春休みだった。春休みは宿題が出ない唯一の長期休み。なにして過ごそうなんて、あたしは割りとテンション高めに竹ぼうきを振り回していた。そこへ現れたのが彼氏だった。教室担当の彼が何でこんなとこに、と思ったが、手にしていたゴミ箱でジャンケンに負けたことがわかった。
「お疲れー」
「…おう」
非常に気まずい。
それもそのはず、昨日、浮気現場を目撃したばかりなのだ。あたしは直感した。来る、と。
「あのさぁ、ちょっと話あるんだけど」
ほらね。
「うん」
うなずいて、ちょっと後悔した。カウントダウンは自分で開始した。でも、もういいや。
「…こんなとこで言うのもなんだけど、別れようぜ」
「うん。いいよ」
「……」
「なに?」
「いや、…ものわかりがよくて助かるけど…」
けど、なんだ。すがりもせずに簡単に了承するなんて可愛いげがないとでも言いたいのか。泣いて別れたくないと喚けばやめるのか。
「気まずくなるの嫌だから普通で頼む」
「わかってるよ」
「じゃ、来年クラス一緒になったらよろしくな」
そう言って焼却炉の方へ歩いていった。
あまりにあっけない。あっさりと、別れは来るのだなぁ。
さて、掃除の続きと振り向くと、宮地と目が合った。聞いてたのか。聞こえたのか。宮地のことだから嫌味のひとつでも言うだろうと、むしろ今は言って欲しいと期待したのに、気まずそうに視線を反らされた。なんなんだ。厄日か。