檸檬空 | ナノ

遂に憧れの海常高校に入学して、遂に憧れの海常高校“野球部”のマネージャーになれるんだと浮き足だっていた。しかし、どうやってマネージャーになればいいかわからず思い付いた方法が、3年の従兄弟に頼るって方法じゃなかったら、あたしの高校生活はもっと違うものになっていたに違いない。



「由孝ー。さっきくれた入部届けって何処に出すの?」
「ん?あ、書いたのか。じゃ一緒に出しに行くか」

海常高校3年の従兄弟、森山由孝に頼ると部活動入部志望届けを渡された。学年、クラス、名前、志望動機などの各項目を記入した後、再び由孝に渡すと、なんか妙に優しくて、怪しい。由孝ってあたしにこんなに優しかったっけ?

「うん。あ、部活名書かないでいいんだっけ?」
「直接持ってけばわかるだろ」
「あ、それもそうか」

このとき深追いしていれば、どうにかなったかも知れないけど、とにかくあたしは浮き足だっていたんだ。だってあの海常高校野球部だよ?!


由孝について歩くとそこはなんかでっかい体育館で。

(やっぱ海常高校って広いなー。入学式した体育館もでかかったのに、まだ他にも体育館あるんか…)

扉を開くとバスケ部が練習していた。あ、あの黄色い頭見覚えある。同じクラスだわ。

そう言えば由孝ってバスケ部だったなぁとか考えていたら、由孝はシュート練習していた人に声をかけた。

「笠松、」
「森山おせーぞ、って隣の子誰?」
「ん、イトコ。てか、ほいコレこいつの」
「あー」

なぜか、由孝はカサマツと呼んだ人(多分先輩)にあたしの書いた入部届けを渡す。

え、なんでバスケ部の人に?生徒会役員とか??


でも、その予想は見事に外れた。


「えっと、じゃ、よ、よろしくなみょうじ」
「海常高校バスケ部にようこそ」
「はい??」

なんかあたし、バスケ部のマネージャーするらしいです。





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