檸檬空 | ナノ

昼休み、突然森山センパイに呼び出されて3年の教室に行けば、森山サン、笠松サン、小堀サンがいた。みょうじがたまにお昼を食べるというメンバーだ。ただ、みょうじだけがいない。

そこで始まった森山サンの話は、みょうじの昔の話で。

「…え、つまり、なんだ?…みょうじはそのトラウマのせいで勝利を約束されると、信頼出来なくなるってことか?」
「ま、そーゆーことだな」
「だからマネージャーはやらないって言うこと?」
「まぁ、そうだろ。マネージャーがチームの勝利を信じようとするたび、トラウマ思い起こしてチームを信頼出来なくなるとかおかしいからな」
「…トラウマを払拭出来ればいいってことッスよね?」
「黄瀬はなんかいい案でもあるのか?」
「いい案とか、なんかわかんないスけど、とにかく勝てばいいんスよね?」
「そりゃそうだけど…。だからどーやってなまえに“勝つことを約束した上で”勝つことが出来るかが問題なんだよ。ただ、勝つことが目標には出来ないんだ」
「でもさ、そんなにツライことをわざわざみょうじにさせるのはどーなんだ?別にマネージャーはみょうじだけなわけじゃないんだし」

小堀サンの疑問に、森山サンは苦い顔をする。これは俺のエゴだけど、と、言葉を吐き出すように話し始めた。

「…なまえにはこのトラウマを克服して欲しいんだ。だから俺は、なまえをバスケ部のマネージャーにしようとした。本当はなまえは野球部のマネージャーをしようとしてたのに」
「あ、それ、俺ききました」
「でも本当の理由きいてないだろ?…いや、本当の理由はなまえも自覚してないかもしれない」
「どーゆー意味だよ」

「多分だけど、なまえは復讐のために野球部に入ろうとしてたんだ」

森山サンの発言は、とても重くて、昼休みの教室には似合わない響きだった。





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