「おい、なまえ?」
由孝の声に、はっとして、朝の喧騒に戻された。
「と、とにかくあたしは、」
「わかった。お前の言いたいことは、わかったから」
あたしの言葉を遮るように(まるでこれ以上話さなくていいと言うように)、由孝は話す。
「バスケ部のマネージャーに、ならなくてもいい」
自分で言ったことだけど、由孝に改めて言われるとやっぱり少しさみしい。
「ただ、本当にするかしないかは、今決めないでくれ」
「え?」
「いや、なまえが色々考えた結果を、オレに話したんだろうけど…オレに、いやオレたちにもチャンスをくれ」
「チャンス?」
「ああ、とりあえず放課後、部活始まる前に、部室に来い」
「……」
なんと答えたらいいかわからなくて黙っていたら、ちょうど朝の予鈴が鳴った。
「いいか、なまえ!絶対来いよ!」
由孝はそういいながら、自分の教室に向かって走っていった。
(これ以上考えたって、あたしは変われないよ…)
放課後が、ひどく憂鬱だ。
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